西洋料理サービス講座

 

オードブルからメインコースまで

アミューズブッシュ(Amuse Bouche)

最近のフランス料理では、オードブルの前に、突き出しのような小さなかわいい料理が出てくることがあります。これをアミューズブッシュ宇と呼びます。意味は、Amuse(楽しませる)とBouche(お口)です。食事の前に、ちょっと楽しませる料理です。単に、Amuseと呼ぶこともあります。

 


 

オードブル(Hors D'oeuvre)

オー(ル)ドゥーブル(フランス語読み)の、Horsは「外」、oeuvreは「作品」という意味です。省略されている「de」は、英語の「of」です。直訳すると、「作品の外」となります。本来、料理はスープから始まりますが、その序曲として位置しているのがHors D'oeuvreです。

その昔、館(やかた)での晩餐会では、招待客は食事の準備ができるまで、別の部屋で待っていました。そして、そこでサービスされたのがAperitifでありHors D'oeuvreでした。

「作品の外」、あるいは「コース以外の料理」とはいうものの、あとに続く料理に期待を抱かせるものです。量より質を重んじた食材が使用されていますので、センスのよい盛り付けも重要となります。

 


 

ちょっと一言

機内では、Rollはテーブルセッティングに続きサービスしています。でも、皆さんが正式なディナーに招待されたら、Hors D'oeuvreコースの時から、がつがつパンを食べるのは、チョット注意が必要です。

料理はスープコースから始まると、前に書きました。そして、料理はダイニングルームに用意されます。アペリティフを飲み、Hors D'oeuvreをつまんでいる場所では、ロール(Roll)は提供されません。レストランや結婚披露宴などでは、ロールはオードブルコースから、テーブルに用意されていることがあります。しかし、いくらお腹がすいていても、パンをつまむのは、もう少しガマンしてください。

 


 

パンにナイフは入れない

テーブルエチケットでは、パンにナイフを入れないことになっています。西欧では、ワインはキリストの血であり、パンはキリストの肉体と教えています。パンにナイフを入れることは、キリストの肉体を切り裂くのと同じことだからです。

 


 

キャビアー(Caviar)について

種類
  ベルーガ Beluga(青ラベル)最高級品
オショートル Oscietre(黄ラベル)
 セブルーガ Sevruga(赤ラベル)
あなたの航空会社はどれを使っていますか。
食べ方
フランス式
Egg White(卵の白身)、 Egg York(黄身の裏ごし)、オニオンみじん切りを好みにまぜ合わせ、メルバトースト(Melba Toast)や黒パンにのせレモン汁をかける。
ロシア式
ブリニー(Blinis)の上にサワークリーム(Sour Cream)をぬってキャビアーをのせレモンを絞る。ヨーロッパのレストランで主流のサービス方法です。

 


 

スープの話

「スープを飲む」を、英語で"Drink soup"なんて、お願いですから言わないでください。"Eat soup"ですョ。ですから、スープを飲むときは、ススったり、音をたてたりしてはいけないのです。Eatするのに音を出すなんテ・・・。

昔、大衆は、肉や野菜や穀物を、Potでグツグツ煮込んだブイヨンを夕食にしていました。今でいうイタリア料理のミネストローネのようなものです。ヨーロッパには、お腹いっぱい食べて寝ると、夜中に悪魔に襲われる、という言い伝えがありました。そのため、夕食はミネストローネのようなごった煮で簡単に済まし、その代り、イギリスでは、朝食のときに、重い食事をとるようになりました。

元来、スープは夕食の中心でした。そして、昔からスープ食べるものだったのです。

 


 

"レストラン"の語源

家庭料理であるブイヨンを工夫し、いろいろな味付けしたものを売り出したのが、パリのブーランジュという人です。実だくさんなブイヨンを、"レストラン"(元気回復剤)という名前をつけて売り出したのです。(1765年)

 


 

"ポタージュ"の意味

ブイヨンを、更にドロドロになるまで煮込んだものが、クリームスープのようなThick Soupになりました。そして、スープの上汁を取り出したものが、コンソメスープのようなClear Soupになりました。

フランス語の"Potage"の意味は、ナベで煮込んだ肉や野菜のこと。そして、Potageの"Pot"とはナベのことです。日本では、ポタージュというとコーンスープみたいなものが出てきますが、これは日本だけです。Potageはスープの総称ですので、お間違えのないように・・・。

       Potage Clairs(クレール)= Clear Soup
       Potage Lie(リエ)    = Thick Soup

 


 

スープはお腹をふくらます

スープを注ぐとき、Bowlの場合、Ladleに2杯ちょっとが目安です。あまり多すぎないように注意します。なぜなら、スープは、昔、食事のメインだったくらいですから、けっこうお腹をふくらませてしまいます。最近では、スープをキャンセル旅客が増えています。フランスのレストランでも、ディナーのときスープを注文すると、ケゲンな顔をされることがあります。

だからといって、機内でスープをサービスするとき、あまり少なすぎるのも、貧弱に見えますので、程よい量を注ぎます。

 


 

スープはなぜ最初?

おいしいスープは、胃壁を適度に刺激し、食欲を促します。そして、次に来る料理の消化を助けます。それとともに、胃に脂肪性の防護膜を張り、アルコールに対する抵抗力を強める役割を持っています。

パンとスープと愛は、始めのものがもっともよい」(ポルトガル)
女とスープは、待たせてはいけない。
             さもないと冷たくなる
」(スウェーデン)

 


 

メインコース

元来、フランス料理では、まずFishものがサービスされます。そして、口直しのシャーベットの後に、Meatもの、さらにRoastものと続きました。

機内の場合は、Meat類、Fish類、Poultry類から選択することが多いと思います。どれか一つしか選べないなんて・・・。もっとも、現在では、すべてのコースを平らげる人はほとんどいません。健康の問題もあり、昔みたいな大食漢は少なくなりました。

 


 

西洋料理は鼻で食べる !

「日本料理は目で食べる、西洋料理は鼻で食べる」と言われています。最近では、新フランス料理が主流になってきています。見た目に美しいDish Upも重要視されています。しかしなんと言っても、おいしそうな匂いをしっかり出して、嗅覚を満足させなくては、西洋料理は死んでしまいます。

機内では、Entrėeにかけるソースがポイントになります。ただ温めただけでは、おいしそうな匂いをチャント出せません。Entrėeにかけた時、ソースの湯気が出るくらいしっかり温めます。そして、まだ湯気が出ているうちに、お客様のところへ運びます。

 


 

見た目によいDish Up

ゴルフにフォームがあるように、料理もフォームがしっかりしていないと、見た目に、きれいなDish Upができません。Dish Upは、温野菜→Entrėeの順で行うのが基本です。私達はプロの料理人ではありませんので、Entrėeを先に盛りつけてしまうと、決して見栄えがよくなりません。

また、Entrėeが、皿の端に寄りすぎているDish Upを見かけます。温野菜の盛りつけは、お肉が皿の中心よりやや手前にくるよう、考えて盛りつけます。バランス感覚を大事にします。

ソースのかけ方にもフォームがあります。違うフォームで行っている人がいます。あなたは、Entrėeが盛りつけてあるPlateを持って、ソースをかけますか。Plateは置いたままで、その上にソーフ入りBowlを持っていきかけますか。それとも、双方とも置いたままでかけますか。

正解は、お肉の真上にソース入りBowlを持っていき、Serving Spoonなどを用いて、よくかき混ぜながらかけます。なぜなら、他の方法で行うと、ソースがEntrėe以外のところに垂れたりしてしまい、きれいな盛りつけができなくなるからです。これらのことができるようになるには、少し時間がかかるかもしれませんが、練習してみてください。

最後に、いったん盛りつけたEntrėeなどを、ずらさないでください。皿の上がソースの跡で汚れてしまいます。そのためにも、盛りつけはイッパツできめてください。

 


 

新フランス風Dish Up

機内でも、最近の流行に合わせて、ソースを皿に敷いたり、Entrėeを囲むように盛りつけたりする、ヌーベルキュィジーヌ風(新料理風)のDish Upをすることがあります。

一つ注意して欲しいことがあります。Dish Upの時に、正面はどこなのかを考えながら盛りつけてください。そして、Cabin担当者は、お客様のテーブルに置くとき、正面がお客様に向いているようにしてください。例えば、つけ合せをEntrėeの回りに配したのはいいが、つけ合せが手前にきてしまい。お客様が、Entrėeを切ろうとする際、脇に寄せなければならないような場面を見かけます。

盛りつけでは、いつも、見栄えと食べやすさを考えていてください。ソースはおいしそうですか!

 


 

ステーキの焼き具合

屠殺したばかりの牛肉は、すぐにではなく、数日置いてから市場に出すそうです。屠殺したての牛肉は、まだ、食べてもおいしくないので、少し空気にさらす必要があります。

同じように、ステーキには、だれもがおいしく感じる焼き具合があります。それは、ミディアムレアーからミディアム移る寸前です。この焼き具合が一番おいしいので、焼き方の注文がないときは、これを提供しするとよいです。

また、ステーキは、たとえレアーあっても、まわりはジュジュッという状態でなければなりません。そのためには、あらかじめOven Panを焼いておきます。熱くなったPanでさっと焼けば、外側はジュジュッという状態で、内側はレアーとなります。(除くSteam Oven)

ミディアムレアーとかレアーの注文があると、ただ温めている人がいます。ステーキは必ず焼いてください。

 


 

FishやPoultryの場合

ステーキの焼き具合に集中し、他のEntrėeのことがおろそかになります。Poultry(チキン、Duck類)やFishが、焼きすぎで、パサパサになっていることがあります。ソーフがすでにかかっている煮込み風のものは、熱くすることは大切ですが、ステーキと同じ感覚で焼いてしまうとパサパサになってしまいます。

また、ソースが別になっている場合も、焼きすぎて肉がパサパサになることがないようにします。Duckなどは、ミディアムレアー気味の焼き具合が、最高においしいということを知っていてください。

 


 

Gibier(ジビエ)) = 狩猟した鳥獣類

フランスで、たべものが美味しい季節といえば、新酒のワインが登場する晩秋から冬にかけてです。この季節は、フォアグラそしてジビエ(猟鳥獣肉)に脂がのる旬と言えます。ヨーロッパ発便では、ジビエがメニューに載ることもあります。昔は、野禽類のEntrėeの中から、猟銃の破片が出てきたなどということがありました。

 

Gibier

秋、狩猟が解禁になって、猟銃によって捕らえられた野鳥獣の総称で、野うさぎ、野がも、山うずら、鹿、いのしし等がそれにあたる。中でも、大きな野うさぎや山うずらが美味とされ値段も高い。Gibierは、冬眠に入るため脂肪や他の滋養を、体にいっぱいためている冬の時期が1番おいしいと言われている。


 

つけ合せ野菜

EntrėeのDish Upでおろそかにされがちなのが、つけ合せの温野菜類です。ぬるかったり焦げたりしていることがあります。温め方が足りないと、きれいな白、緑、赤になりません。

キャロットのグラッセなどは、特にそうです。つやが出るくらいしっかりと温めます。そして、Dish Upする前に、よくかき混ぜて、油が全体に行き渡るようにします。温めすぎるとしなびてしまい、つやが出ませんので、いつも注意して見ていることが肝心です。

 


 

ローストビーフ

最近のファーストクラスでは、ローストビーフを提供することがなくなり、さびしい限りです。というのも、ローストビーフは、サービスを盛り上げるための、機内で演出できる最高の料理でした。また、チーフパーサーにとって腕のふるいどころでした。

ローストビーフの焼き方の好みで、国民性が出ます。日本人やフランス人はレアー(Rare)を好み、アメリカ人やイギリス人は、ウェルダン(Well Done)気味を好みます。とくに、肥満気味のアメリカ人は、健康を気にして、Edge Cutを注文する人が増えています。Edge はよく焼けているため、油が流れ出ているので、脂肪分を嫌うアメリカ人向きだと言えます。それなら、肉を食べるのを止めればよいのにと思うのですが、そうはいかないのがアメリカ人です。

LON基地のイギリス人CAたちも、レアー気味の肉は食べません。イギリス人もレアーの肉は苦手なのです。健康の観点というより、生肉を食べる習慣がなかったからです。そういえば、イギリスで、ローストビーフをレアーで注文しても、たいていミディアム(Medium)が出てきます。

 


 

英仏の食べ方の違い

フランス人に言わせると、イギリス人は肉を焼きすぎてまずくしてしまうそうです。食べ方も違います。

イギリス式は、ホースラディッシュ(Horse Radish)とグレービーソース(Gravy Sauce)、それにヨークシャープディング(Yorkshire Pudding)を添えて食べます。フランス人は塩とコショー、そして、フレンチマスタードだけであっさりと食べます。

 


 

懐かしのBeef Wellington

バブル時代のファーストクラスでは、帝国ホテルで食べたら、一人前2,3万円はするビーフウェリントン(Beef Wellington)が搭載されていました。ワーテルローの戦いでナポレオン軍を破った英国のウェリントン将軍の名に因んだ料理です。牛フィレの塊の回りにフォアグラのパテをぬり、パイで包み焼き上げたものです。2度と食べられない最高の料理でした。

 


 

ヨーロッパ式、アメリカ式

薄め2枚をサービスするのがヨーロッパ式であり、厚切り1枚をサービスするのがアメリカ式です。昔、パーサーは、ローストビーフを1ランプ(Lump塊)あたり、12、3枚くらい切り分けられなくては一人前ではない、と言われていました。

 


 

切り分けは主人の仕事

ヨーロッパ人は狩猟民族だと言われています。上は皇室から一般大衆まで、狩が好きです。皇族でさえ、狩猟した獲物を皆に振舞います。冒頭でも紹介したとおり、

「料理は、高い地位につく者のみが携わることのできる最高の芸術であり、
 哲学でした」

とあるように、料理した肉を、切り分け皆に振舞うのは、主(あるじ)の仕事でした。

「接客しておきながら、肉を裂くことも給仕することもできない人は、万巻
 の書を持っていても読むことができない人物である」

               クリモ・ドゥ・レニェー(19世紀の料理批評家)

 


 

ワインの交換

Entrėeをサービスする時点になると、Cabinはまさに戦場となります。Entrėeを出すことだけに目を奪われないでください。たとえ忙しくとも、せっかくサービスしたものは、おいしく召し上がっていただく配慮を、忘れないことが肝心です。

Entrėeがサービスされたら、ワインも、Entrėeに合ったものを飲みたいのが、お客様の気持ちです。Entrėeを提供したら、ワインを必ず確認してみてください。ワインを交換するときは、グラスの交換も忘れずに・・・。

 


 

ワインのRefill

忙しいと、忘れがちになるのが、ワインのRefillです。まだ食事を召し上がっているのに、ワイングラスが空になったままなんて、サービス側として恥ずかしいことです。

お客様に言われる前にワインをRefillしてください。その際、注意することがあります。赤ワインは、室温で提供しているので、グラスにどの程度残っていてもRefillしてかまいません。開栓した白ワインはかならずワインクーラーで冷やしておきます。グラスに残っているワインが半分以下になっていたらいつRefillしてもかまいません。残量が多いうちにRefillを行うと、グラスに残っているぬるくなったワインと混ざってしまいます。せっかくRefillしたワインを冷えた状態で飲んでいただけなくなるからです。白ワインを飲んでいる時、ワイングラスの縁が、お客様の鼻に触れるぐらいになっていたら、すかさずRefillしてください。

 


 

サラダについて

Entrėeの前にサラダを提供するのはアメリカ式です。ヨーロッパ式では、サラダはEntrėeの後に提供します。

お客様がサラダを召し上がっています。サラダが終わっていればよいのですが、まだ召し上がっています。そこへ、Entrėeを持っていくことになりました。もちろん、Entrėeはテーブルの中央手前に置きます。そのためには、サラダはどこに寄せますか。サラダはテーブルの左手前に寄せます。ここがサラダの正式な位置です。

ファーストクラスのテーブルもそれほど広くはありません。やむを得ず、本来の場所以外に置かざるをえない時もあります。しかし、本来の場所にスペースがある限り、本来の場所においてください。本来の場所に置けるのに、他の場所に適当においては、あなたはまだまだ素人です。

 


 

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