しぐさ研究講座

 

日・欧米―しぐさの違い

私は鼻です

筆者が、イギリス人CA訓練を担当していたとき、彼女たちに、よく言われたのが、

「日本人は、自分のことを指差すとき、鼻を指す」

はじめてクラスに来た教官は、自己紹介の時、かならず鼻を指す。この動作がおかしくてしょうがない、と言っていました。欧米人は、自分の胸に手を当てる動作をします。欧米人は胸、つまり自分の「心」を知ってもらおうとします。日本人の場合は、「顔」を知ってもらおうとします。

日本人は、集団主義的なところがあり、個人を打ち出す機会が多くありません。そのため、自己紹介などの機会があると、その集団の中にいる「鈴木」という自分は、こういう顔をしている、と表現します。一方、欧米人は、自分の顔を知ってもらうより、自分の「心」を知ってほしいと思っているのが、動作に表れます。

 


 

まるはお金

一般的に、日本人は、お金を表わすとき、指でまるを作ります。欧米人は、人差し指と親指をこすり合わせる動作をします。

日本人も欧米人も、指でまるを作る動作を、"OK"のサインとしても使うこともありますが、欧米では、時に、「間抜け」を意味することがあります。

 


 

親指を立てる

「よろしい」「そのとおり」「分かった」などを表現するとき、親指を立てるしぐさをします。欧米人も同じ意味あいで使うことがありますが、この動作は、欧米では、「勇気」「幸運」を表わします。

日本では、「男」「夫」「父」「男ともだち」を表わします。また、小指を立てると、「女」「恋人」「妻」になりますが、欧米ではそれらの意味はありません。

 


 

中指を立てる

日本人がしなくて欧米人がする動作に、相手に手の甲を見せ、中指だけを立てるしぐさがあります。このしぐさは、「クソ食らえ」を意味します。これは相手を侮辱する上で、強烈な意味を持っています。

 


 

Vサイン

Vサインは、「平和」「勝利」を表わします。人差し指と中指を立てて行います。ところが、このとき手の甲側を相手に見せると、やはり「クソ食らえ」の意味になります。手の甲は、欧米でも"陰"を表わします。

 


 

泣くしぐさ

日本人は、「泣く」しぐさをするとき、目の端から涙が流れるようすを、人差し指でテンテンテンとします。欧米人は、涙をぬぐうしぐさをします。

泣くと、日本人はハンカチで、涙をぬぐいますが、欧米人は鼻をかみます。これは涙腺の違いで、日本人は涙があふれ出てきますが、欧米人は、涙の多くが鼻の中に流れるためです。

 


 

うなずく(Nod)

日本人とヨーロッパ人CAの授業の受け方で違うのは、「うなずき」です。邦人訓練生は、授業中、よくうなずきます。ところが、ヨーロッパ人CAはほとんどうなずきません。外国人訓練に慣れていない教官は、ここで戸惑います。自分が教えていることを理解できないのか、不安になります。ときに、「ヨーロッパ人CAは素直じゃないな」などと思うこともあります。

彼女たちが飛び始めの頃、現場でも同じことが起きました。先輩があれこれ教えているのに、うなずいて相手に同調するしぐさをしませんでした。これが原因で異文化摩擦が起こりました。

うなずきは、日本人特有のしぐさです。彼らが、うなずくことに慣れて帰国すると、自分の国に帰っても、なにかにつけてうなずいてしまいます。そして、友達や家族に、今度は反対に、「あなた、みっともないから、うなずくのやめなさい」と言われます。

 


 

いってらっしゃい

人を見送るとき、欧米人は、腕を招き猫スタイルにして、手を交互にグーとパーのように握ったり開いたりします。日本人は、手を振るしぐさをします。友達や恋人と別れるときなど、若い女性たちの間では、その動作が大きくなります。

日本人が「いってらっしゃい」と手を振るのは、元来、魂振り(たまふり)の意味がありました。「魂振り」は、神の魂を奮い立たせ、神を呼び寄せるための動作だそうです。神社で拍手を打ったり、鈴を鳴らすのも同じ意味があります。昔の人は、出かける人に対して、手や袖を振ることで、神霊を招き寄せ、その神霊の加護によって安全に旅ができるように祈っていました。昔の女性は、袖を振る動作も多く見られました。これは、恋する相手の魂を引き寄せるしぐさだったのです。

参考 「今さら他人に聞けない疑問50」光文社 智恵の森文庫

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