相性心理学講座

 

きょうだい関係と仕事

 

はじめに

 

筆者は、CAたちと一緒に乗務したり、彼女たちを部下として持ったり、長らくCAの職場で仕事してきました。女性と仕事の関係を、きょうだいのどの位置で育ってきたかによって、その行動が違う傾向にあることのではないか、観察していました。そして、ヴァルター・トーマン教授の相性心理学にめぐり合いました。心理学は、一種の統計学です。もちろん違う方もいますが、そのような傾向にあるということを知っていてください。

(注) ここで使っている長男、長女は第一子という意味で、戸籍上の長男、長女ではありません。

 


男だけの長男は面くらい!

 

育った中で姉や妹がいないので、女性を理想化する傾向にあります。小さい頃から見ている女性は、雑誌に出てくる主人公です。目がパッチリで、足は長く、お嬢様タイプです。女性を理想化する傾向があります。自分の理想に合った女性が部下になるとうれしくなります。

 


妹がいる長男

 

妹と一緒に育ってきています。妹を通して、女性の現実を見てきているので、女性を理想化することなく、ありのままを受け入れるタイプです。部下は、女性としてより、妹のように見ています。どの女性とも分け隔てなく接しますので、女性の職場の上司として向いています。

 


末っ子系の上司を持ったら!

 

男性上司が末っ子タイプだったら、弟がいる姉タイプの補佐役がいると理想的です。男のわがままをうまく料理できるのがこのタイプの女性だからです。いずれにしても、末っ子の上司についたら、世話女房的に接するとよいです。女性上司が末っ子の場合も同じです。長女(男)系の補佐役が相性がよいと言えます。

 


末っ子系は、人生エンジョイ型

 

末っ子系は、マイペースなところがあり、あまり面倒くさいことはしたくないほうです。あまり硬いことは言わずに、楽しくいこうよ型の傾向があります。この上司は、しっかりした部下がいると仕事をどんどん仕事を任せてくれます。次男(女)や末っ子系は、楽しいことが好きですので、アフター5などでは、皆を楽しませてくれます。

 


長男(女)系の上司を持ったら!

 

「あなたはお兄(姉)ちゃんなんだから・・・」と言われながら育ってきています。長男(女)系は、基本的にまじめタイプが多いようです。両親にとっては、最初の子どもなので、「いい子、いい子」と言う傾向にあります。そして、両親にほめられるように行動してきています。ほめられるのがとにかく好きです。ほめまくるのが長男(女)系上司への接し方のポイントです。部下からほめられると、自分を認めてくれた部下がかわいと思うようになります。

 


長男(女)系を部下に持ったら!

 

長男(女)系を部下にもったら、やはり、ほめることから始めます。ちょっとしたことでも、良いことがあったらすぐにほめます。ほめられると、また、ほめられたくて、さらによい仕事をしようと張り切ってくれます。

ただし、このタイプの人は、まじめなで保守的ですので、両親が手を焼くことも少なく、あまり叱ったり、怒ったりしていません。そのため、叱られることに慣れていないと言えます。上司や先輩に叱られたり、怒られたりすると、どのように振舞ってよいか分からなくなってしまいます。叱ったあとのフォローアップが必要です。

 


あかんべーの末っ子型

 

末っ子には、いたずらっ子が多いのは、皆さんも知っているとおりです。いたずらしては両親から怒られ、兄や姉からも、"バカ!"と言われながら育ってきています。怒られても叱られても、その場では神妙にしていますが、あとで「あかんべー」と舌を出しています。上司が怒っても、あとに尾を引くことが少ないのが末っ子タイプです。怒られ上手の末っ子とも言えます。

 


「おまえは」と呼べる女性

 

下町育ちの筆者は、子どもの頃から、相手が男だろうと女だろうと、「オメェー」とか「お前」と呼んでいました。ところが、若い頃、一緒に乗務していたCAを、「お前」と呼んだら、すごく怒られたのを覚えています。

「オマエ・・」と呼ばれながら育っている人、そうでない人と両方いることに気づきました。それ以降、女性の部下を呼ぶときは、相手を見て、下町的呼び方をしたり、丁寧な呼び方をしたりしていました。きょうだい関係からいうと、男きょうだいの中で育った女性は、「オマエ・・」と呼ばれてもあまり気にしないようです。

 


リーダーになりたい長女系

 

昔、パーサー昇格訓練を担当していた頃、パーサーになるような人は、きょうだい関係では、どのような人が多いのか調べたことがあります。

当時のパーサーは、チーフパーサーを補佐し、ビジネスクラス、エコノミークラスを統括していました。小型機材では、先任Dutyもとり、一機の責任者として乗務することもありました。トラブルやイレギュラーがあれば、すべて対応しなければなりませんでした。

調査した結果、あらたにパーサーになった人のうち、10人中7~8人が長女でした。

 


長女系は仕事が好き

 

入社時には、長女系、次女系、それぞれ同じような割合でいたはずですが、パーサー昇格するまで在籍して仕事をしているのは、圧倒的に長女の人が多いのです。長女の人は、兄や姉がいないので、自分で人生を切り開いてきています。その結果、何ごとも自分の思いどおりにしたいと思っています。早くリーダーになって自分の考えでサービスをしたいと思う人が多いと言えます。

 


長女系はほめることが不得意

 

ほめられるのが好きなわりには、人をほめることはあまり得意ではありません。むしろ、相手の欠点が気になってしょうがいところがあります。

特に、男だけの長男、女だけの長女は、完璧さを好む傾向があります。だらしないことがキライです。子供の頃より、弟や妹に対して、きびしいところがあり、小言を言ってきています。仕事でもそれが出ます。

 


一人っ子の特徴

 

トーマン教授も指摘しているとおり、一人っ子は、一般的には、社会性が乏しい傾向にあります。たとえば、子供の頃、きょうだいげんかをしていません。きょうだいの多い人は、多かれ少なかれ、きょうだいげんかをしています。きょうだいげんかを通して、どのくらいの力で相手をぶつと、どのくらい痛いかを知ります。口げんかも同じです。どのような言葉で相手をののしると、どのように傷つくかを知ります。一人っ子は、この経験がありません。

一人っ子の中には、すばらしい人も多くいます。一方で、仲間から嫌われている人もいます。嫌われている人の行動を観察すると、相手の気持ちを読む力が足りないところがあります。そのため相手が疲れてしまいます。たとえば、相手や仲間が関心を示そうがしまいが、お構いなしにしゃべっていることがあります。親もかわいがってくれ、いつも自分が真ん中にいるような育ち方をしてきているところがあります。

    *相手に関心を持ち、相手のことを知ろうをする
*自分中心から相手中心に行動を変える

上の2つの行動をすれば、回りからも好かれ、仕事も、恋愛もうまくいきます。

 


よいチーム

 

グループの中に、それぞれのタイプがうまい具合にいるとよいチームになります。反面、なにかしっくりいかないような場合は、リーダーシップをとりたい長男(女)系が多かったり、面倒くさいことは避けたい次男(女)・末っ子に片寄っていることがあります。

 


きょうだい関係と服装センス

 

■妹がいる長女
いつもビシッとしている。乱れた姿を他人に見せない。センスはよい。
■弟がいる長女
ファッションにあまり重きをおかないし、価値を感じない傾向にある。でも、自分はセンスがよいほうだと思っている。
■兄(姉)がいる妹
センスはよいがやや派手になりがち。よい男性にめぐり会いたい気持ちが強いので、女性部分をアピールしたファッションを好む。また、それが似合う。

 


身だしなみ

 

キャビンアテンダントは、航空会社の顔であり、機内では、お客様が見ています。

CAは、どの世代のお客様にも好感を持たれるよう、いつも身だしなみを整えておかなければなりません。そのため、制服着用時の規定があります。ところが、上司がなにも言わないでいると、身だしなみが乱れてきます。

きょうだい関係から見ると、末っ子系の女性は、髪を染めたり、マユを必要以上に細くしたり、マニキュアが規定外の色だったり、ややもすると派手になりがちです。また、指輪、ネックレス、イヤリングなどは、規定を逸脱する傾向にあります。

一方、長女系は、規定があると、それから逸脱するようなことはあまりしません。規定の範囲内で、自分を魅力的に見せようと努力します。

 


 

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