上位職になるための講座

 

中堅乗務員の実務

 

中堅乗務員の仕事

 

中堅乗務員の仕事は、お客様への直接的接客サービス業務に加え新たな業務が加わり、大別すると図のようになります。

上の立場になればなるほど、旅客への直接的サービスに加え、よい仕事を成し遂げるために、同僚・後輩をリードし、まわりの人たちの協力を得ながら仕事を進めなければなりません。同時に、自分だけが伸びるのではなく、後輩を伸ばす(育てる)ことも重要な役目になります。

部下を育てない上司は、上司の資格がないと言われるくらい、人を育てる仕事は、上に立つ者にとって重要な仕事です。

 


作業から仕事へ

 

作業とは・・・・・言われたとおりに行う単純労働
仕事とは・・・・・仕事は作り上げるもの、よりクリエイティブなもの

ジュニアのときは、まず1人前の客室乗務員になるために、先輩や上司からアドバイスや指示を受けながら業務にあたってきました。上の立場になれば、その時々の状況や上司の意向などを勘案しながら、サービスをCreateしていかなければなりません。

 


マニュアルとは

 

1900年代初期のアメリカは、移民の人達であふれていました。企業はイタリア系、プエルトリコ系、メキシコ系、アフリカ系と、いろいろな国からの移民を労働者として雇っていました。ところが、それぞれの国ごと、また、人によって労働者のレベルが違いました。そのため、製品の出来ばえ(品質)に差異が出て苦労していました。

そこで、現場監督者だったフレデリック・テーラーは、一つ一つの作業工程を標準化(マニュアル化)し、誰が作業しても、同じ結果(品質の均一化)が出るようにしました。これを科学的管理法と呼びます。科学的管理法から生まれたのがマニュアル方式です。

現在でも、大きな組織では、業務に対する共通認識を保つためマニュアルシステムを採用しています。また、アルバイトが多い企業(例、マクドナルド、ディズニーランド等)では、アルバイトの人たちは、まだ若く、レベルが高い訳ではありません。そのため、一定レベルのサービスを提供するために、マニュアルは大きな役割を果たしています。

 


マニュアルの弱点

 

テーラーが、最初に標準作業工程を作り上げたとき、作られた製品は、品質が一定になり、賞賛を浴びました。

しかしながら、この考えでは、ある程度までの品質を確保できましたが、それ以上に良くなりませんでした。同時に、働く側にとっては苦痛にさえ感じるようになっていました。自動車工場では、各工員に標準作業工程が割り当てられた結果、例えば、ボルトを締める担当者は、一日中ボルト締めの作業を行わなくてはなりませんでした。もっといろいろなことをしてみたいと思ってもさせてもらえませんでした。

マニュアルの弱点として、よく例に取り上げられるのは、ファーストフードチェーン店のサービスです。1人で来店したお客様がコーヒーを6杯注文したところ、「店内でお召し上がりですか、お持ち帰りですか」と聞くとのことです。アルバイトの人たちは、ニコニコと接客しているのでとてもよいのですが、お客様にしてみれば、「6杯もコーヒーを飲む訳ないでしょう」ということになってしまいます。

 


マニュアルとうまくつきあう法

 

  • マニュアルはあくまで標準作業工程である
  • マニュアルを越えることはお客様にとってよいことである
  • マニュアルを越えることは自分を高めることである
  • マニュアルはコントロールするものであり、コントロールされるものではない
  • マニュアルを越えるためには、「なぜマニュアルにはこう書かれているのか」その背景(精神)を探ることが必要である
  • マニュアルを越えることとマニュアルを無視することはまったく別のことである

 


予測と判断

 

私たちは、お客様に機内でくつろいでいただき、快適なひとときを過ごしていただくお手伝いをしています。これが私たちの仕事です。ところが、同じ製品を毎日作っている職場とは違います。FLTごとに違う商品をつくっています。客層、路線、FLTの状況を勘案しながら、サービスという商品を作っています。

In-Chargeをとるようになると、自分で商品を作らなければなりません。

*客況・客層
例) 中国人が多い便
   ビジネスマン中心のFLT旅客の少ない時のサービス
*Flightの状況
    天候 Route 出発時間帯 機材

また、イレギュラー対応として、

*Flight Irregular (ATC Delay、Maintenance Deley. Diversion等)への対応
*苦情処理
*サービスミス(Meal Trayの配布もれ、Entrėeが 冷たい、オーダー忘れetc)
*旅客の質問・要求

などを考慮に入れ、そのFLTにあった最適な商品を提供することが求められます。

 


よい判断

 

FLT中には、予測していないことが起きます。イレギュラーの発生に際しては、常に、判断が求められます。

 (基本) 判断に際して、お客様のことが充分考えられているか

そして、

判断に迷ったとき
   どちらの方法がお客様にとってよいかを判断の基準にする
もう一つ忘れてはならないことは、判断は、正しい知識と情報に裏付けられたものでなければなりません。

 


知識と情報

 

知識
普遍的なものであり、長期的なもの
地理 歴史 マナー 旅客心理 食事 お酒 etc
情報
一時的に役立つもの、短期的なもの
マニュアル 業務情報 Instruction etc

「知は力なり」と言ったのはフランシス・ベーコンです。また、知識のないところによい行動はありません。よい仕事(サービス)をするには、知識がなければなりません。地理や歴史はもちろんのこと、語学、マナー、文化、人間心理と、キャビンクルーの仕事を続ける限り、知識の吸収は欠かせません。そして、それらの知識は、たとえキャビンクルーの仕事を辞めたとしても、大きな財産としてその後の人生の中でも役に立ちます。

    ~ インプットのない人に、よいアウトプットはない ~

一方、情報は時間が勝負です。また、業務情報は、刻々と変化します。そして、時がたつと価値がなくなるのも情報です。そのよい例が人事情報や企業情報です。「誰々が部長になるそうだ」「今度、あの航空会社は新しいサービスを導入するそうだ」というものです。そして、人事が発表になれば、誰もその話題を口にしなくなります。新しいサービス方法についてのInstructionが出たら、以前のサービス方法が記載されているInstructionやマニュアルは、もう何の価値もなくなります。Emergencyマニュアルも同様です。

 


 

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