目は口ほどにものを言う
目がきつく見える
視線を左右に動かすとき、注意してください。自分の利き腕の方に、つまり右利きなら右の方に、ジロッと目を向けると、目がきつくなります。不思議なことに、その逆だと、きつくは見えません。人は、利き腕の方で攻撃をするからだと考えられています。
無視と冷視は「拒否の目」
- 「無視」…
- 常に視線を合わないようにし、相手が話しかけても、そっぽを向いて、相手がいることさえも無視してしまう。別名「人も殺せるシカトの目」と呼ばれる。
- 「冷視」…
- 常に視線を合わないようにし、相手が話しかけても、そっぽを向いて、相手がいることさえも無視してしまう。これも別名「人も殺せるシカトの目」と呼ばれる。瞳孔を狭めてジロリと見て、あとで視線をそらす目をいう。
これらの視線はアドレナリンを分泌させ、相手の筋肉を硬直させてスムーズな行動を妨げさせます。仲間に対して、このしぐさをすれば、仕事がスムーズに進まなくなります。また、先輩が後輩にすれば、後輩はますます萎縮してしまいます。
敵視・凝視
- 「敵視」…
- 常に視線を合わないようにし、相手が話しかけても、そっぽを向いて、相手がいることさえも無視してしまう。額にしわを寄せ、目をカッと見開き、攻撃性むき出しにした喧嘩ごしの目です。
- 「凝視」…
- 常に視線を合わないようにし、相手が話しかけても、そっぽを向いて、相手がいることさえも無視してしまう。相手の顔をジッと見続ける目を言う。凝視をすると、相手は自分の縄張りを侵害されていると感じ、不快になる。凝視がすぎると喧嘩になることがある。
視線で黙らす怖い先輩
顔はほとんど動かさないで、無表情のまま視線だけを横に動かすと、部下や後輩は黙ります。後輩が、「これはこのようにした方がよい」などと言うと、必ずこのしぐさをする先輩が、どの会社にもいます。
出会いを大切に
人間同士の第一印象は、五感の働きで、たった0.6秒で決まってしまうそうです。しかもその内、視覚による判断が60%も占めています。視線や表情が大切な所以もここにあります。
アイコンタクト
視線の第一義的な意味は、誰かに、又は、何かに注意を向けていることを表わします。そして、一定時間、誰かの目を引きとどめることは、相手を物としてではなく、人間として扱うことを表現することになります。
お互いの視線の結び合い(アイコンタクト)で大切なことは、お互いの人間関係を認め合う何らかの行為、たとえば、微笑み、うなずき、挨拶が引き続き行われなければなりません。これがなければ、ただの凝視で終わってしまいます。
サービスの目は「優しいまなざし」
「目は外に出ている脳」と言うそうです。脳の成分と目の成分はよく似ているので、"脳から飛び出した部分"が、実は目だと言われています。人は相対する人の心そのものを目で読みます。お客様も、Cabin Crewのサービス心を目で感じています。いついかなる時でも、「優しいまなざし」ができたら、プロ中のプロです。そのようなまなざしをされれば、お客様は「自分のことを分かってくれている。好意をもって接していてくれる」と感じます。
笑顔は人の気持ちを暖かくする
生まれて4~5ヶ月の赤ちゃんに、無表情のままでいる母親の顔をみせる実験を、日本の心理学者が行いました。そうすると、どの赤ちゃんも体温がスーっと引いてしまい、身体中が真っ青になってしまうそうです。これは血管が収縮してしまい、血行が悪くなり、心臓に相当の負担がかかっている結果だと判りました。
反対に、ニコニコした笑顔を赤ちゃんに向けると、嬉しそうに手足をばたばたと動かして、自分でも笑顔を作ろうとし、体温も上昇し、身体もピンク色に染まってくるそうです。
無表情というのは、相手にかなりの負担をかけていることになります。このような人はサービス業には向いていません。
大脳生理学
人間の感情は、ノルアドレナリン(怒りのホルモン)、アドレナリン(不安のホルモン)、ドーパミン(快感ホルモン)の分泌によって起こることが分かっています。ドーパミンが盛んになると、赤ちゃんの場合は、さらに成長ホルモンに働きかけて、穏やかな成長の手助けをすると言われています。成人の場合は、血行をよくして、手足の動きをスムーズにして幸福感や生きる意欲をかき立てます。このドーパミンはモルヒネと似ています。モルヒネという薬は外から摂取すると習慣性がつき害になります。ドーパミンは快感ホルモンとして脳内で分泌されます。ドーパミンもモルヒネと同じように習慣性があります。一度よい気持ちを味わうと、また人は同じ気持ちを味わいたくなります。
笑顔のサービスは、お客様のドーパミンの分泌をよくさせ、幸福感を感じさせます。Cabin Crewの気持ちよい笑顔は、お客様をまた呼び寄せる武器になります。
上目づかいみる
TVでお見合い企画の番組をときどき見ます。若い男女が、フリータイムでお互い知り合い、最後に、男性側が気にいった女性にプロポーズするという企画です。男性のプロポーズに対して、女性が"イエス"と言うのか、"ノー"と言うのかが、番組最後の楽しみでした。男性が花束をもち、気に入った女性のところに近づいていきます。カメラは、その女性の表情を映し出します。このとき、女性の男性を見るしぐさで、"イエス"なのか"ノー"なのか、おおよそ見当がつきました。
一般的に、女性が男性を、上目づかいで見るようなときは、その男性に対して、一種の尊敬とか敬愛とかの感情を持っていると考えてよいです。教官にあこがれている訓練生は、その教官の授業中、やはり同じようにやや上目づかいで、授業を聞いています。
「視線」の文化比較
欧米人に比べると、日本人は視線をつかって何かを示す割合が多い。欧米人は言葉でハッキリ言うことが多いといいます。
- 欧米人…
- 相手の目をしっかり見ない人は、不誠実、不正直、ごまかしがあるのではないかと感じます。
- 日本人…
- 目を合わせないのは、丁寧さや尊敬を意味することが多いと言えます。
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