人間(じんかん)距離4つのパターン
近接空間学で有名なアメリカの心理学者エドワード・T・ホール(Edward T Hall)によると、人間が対人的な間合いをとるのに、4つのパターンがあるそうです。
- 親密距離(Intimate Distance) 0~45cm
- お互いに相手の体温や匂いを感じるほどの距離。赤ちゃんを抱くときや、セックスに必要な間合い
- 私的距離(Personal Distance) 45~1m22cm
- 手を伸ばせば相手に触れることができる。夫婦や恋人同士の距離
- 社交的距離(Social Distance) 1m22cm~3m66cm
- 友人同士とかビジネス時の距離
- 公共的距離(Public Distance) 3m66cm以上
- 見知らぬ人との間で、通常なら確保したい距離。この距離なら、相手の攻撃に対して、逃げたり、防衛策を講じたりできる距離
民族によって、この距離間は多少違ってきます。一般的に、Cabin Crewと旅客は社交的関係になります。機内ではせまい空間でのサービスとなりますので、私的空間に入り込むこともあります。ただし、45cm以内は、親密距離となりますので、近づきすぎないよう注意が必要です。但し、子供と接するときとか、病人対応の時とか、特別の場合は親密距離に入り込むことがあります。ただし、赤ちゃんは、細菌に対する免疫力が少ないため、他人が親密距離に近づくのを嫌う母親もいます。
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外国人旅客と接客
イギリス人とアラブ人が話していると、いつの間にか、違う場所に移っている例を挙げました。国によって、身体的接触の度合が違うことも、国際線Crewなら知っておく必要があります。
日本人からみると、アメリカ人は、親しみを表わすため、相手に触れることが多い、という印象を持ちがちです。ところが、一般的には、アメリカ人も「非触覚的」国民と言われています。さらに、イギリス人、イギリス系カナダ人、ドイツ人は、アメリカ人以上に、相手に接触することを避けようとする国民です。
一方、フランス人、フランス系カナダ人、イタリア人、西南アジア人、ロシア人、スペイン人、ラテンアメリカ人は、触覚的国民と呼ばれ、男同士でさえ、挨拶の抱擁をしますし、挨拶のキスでも、両方の頬にします。いわゆる2回キス、時には、3回キスとなります。
最近では、ずいぶん変わりましたが、日本人も身体的接触の少ない国民です。アメリカ人の半分程度だそうです。昔は、握手をしたり、挨拶の抱擁をしたりすることはしませんでした。
日本人の特徴
日本人は、単一民族で歴史を育んできているので、他人に対する警戒心が薄い国民です。満員電車で他人に触れることも日常的となっています。他人と触れることに抵抗がない反面、家族と接触することもあまりしません。恋人同士のときは、ベタベタしていても、結婚すると、サラッとしてしまいます。子供の前で挨拶の抱擁などほとんどしません。
欧米人は、身内と見知らぬ相手との間では、明らかに近接距離を変えています。日本人は、身内であろうと他人であろうと、あまり気にしません。そのため、近接距離に差が少ない国民と言えます。
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