仕事と健康
若さと悩み
悩みがあるということは若いという証拠です。若いから、悩んだり、ときめいたり、感動したりできるのです。年をとると、これがなくなります。 なぜ悩むかというと、若い人には、未知なことが多いからです。問題が起こっても、この先、どうなるのか分からないので、不安になります。
若さ = 未知
たとえば、恋人にふられたとき、目の前が真っ暗になります。希望も夢も抱けない状態になってしまいます。本人にとってみれば、悲惨以外のなにものでもありません。一方、年を重ねた人は、『失恋は、時間が解決してくれる』ことを知っています。なぜなら、それを自分も体験しているからです。若い人は、先が見えないため、問題が起こると、不安になったり、悩んだりします。年を重ねた人が、若い人を見てうらやましいと思うことがあります。なぜなら、彼らには、未知の世界が広がっているからです。
心因性疾患増加
ここ数年、精神的疾患になる人が増加しています。一般社会でもそうですが、客室乗務員の社会でも同じ傾向にあります。腰痛が減少し、心因性疾患が増えています。
これは、客室乗務員に社会性が出てきたことにあると推測しています。1980年代までは、平均年齢は20代前半でした。最近では、30歳代中頃になっています。20代前半の人たちが多かった時代には、精神的疾患になる人は、ほとんどいませんでした。平均年齢が上がるとともに増えてきたのです。
また、社会が複雑化していることも、その要因になっています。経済が混沌としている昨今は、企業で働く者にとって非常に厳しい時代と言えます。「サラリーマンは気楽な稼業」と言われていたのは、遥か昔の話になってしまいました。厳しいノルマや人間関係の中で、多くのストレスがかかっています。
社会生活と悩み
20代前半の人たちの悩みといえば、恋愛問題くらいです。抱える問題の数はそれほど多くありません。そして、まだ両親と一緒に住んでいたりしますので、社会的問題は親が解決してくれます。ところが、30代になると、社会との関わりが増え、自分で解決しなくてはならなくなります。年齢と共に、それだけ、問題を抱えることになります。たとえば、結婚すれば、オットとの関係、舅・姑との関係、子供との関係、隣近所との関係、PTA(保育園・学校)との関係などが出てきます。すべてがうまくいくことはありません。常に、何らかの問題を抱えることが多くなります。そして、40代も中ごろになると、人生経験も豊富になり、問題の処理の仕方も分かるようになり、落ち着いてきます。
悩める30才前後
心因性疾患で乗務を休んでいる人の年齢層を調べると、30才前後が一番多いことが分かります。それだけ、この世代の女性は悩みが多いのです。
女性にとって、20代後半から30才過ぎまでが、悩める世代と言われています。特に、独身女性にとって、20代後半は、自分の将来について、あれこれ悩む時期です。結婚できるのか、このまま独身なのか。また、独身のまま仕事を続けてもやっていけるだろうか。さらに、これからの人生を、このようにやっていきたい、と思っても確信を持てずにいます。人生の決断をせまられるのが30才前後なのです。
30才過ぎの独身女性から、「自分はなんのために生きているのか分からなくなった」という相談をよく受けます。この時期を乗り越えた女性は、別の生きがいを見つけ、仕事に集中するようになります。
F美の場合
彼女は、あるFLTで、PA(機内アナウンス)をしていたら、先輩に、「あなたのPA、ダメね!」と言われたのがキッカケで、自信喪失となり落ち込みが激しくなりました。休みの日も、PAのことが気になり、PA Handbookをいつも手元においていないと不安にかられる毎日でした。
FLTの前日は、PA Dutyをアサインされるのではないかと心配でした。練習しても、まだ不安が残り、よく眠れません。そのような状態でのFLTが続き、ついに体調が悪くなりダウンしてしまいました。そして、長期的な療養が必要との診断が下されたのです。いわゆる、何かをしようとすると、自信がもてなくなる「うつ病」系の病気です。休業していても、あいかわらず、PAのことが気になって、頭から離れないのです。
あるとき、彼女から電話があり、所属長が替わったので、休業中だが、挨拶に行きたいと申し出がありました。会って話してみると、わざわざ挨拶に来るくらいですから、とてもまじめそうで、かわいらしい感じの女性なのです。彼女には幼稚園に通う娘がいます。
話しを聞くと、彼女は、家庭生活でもトラブルを抱えていました。夫とは、ほとんど口をきいていない状態でした。彼女の夫は映画会社に勤める普通のサラリーマンです。夫とうまくいっていないので、姑との関係もよくありません。さらに、彼女は、実の母親を亡くしたばかりでした。亡くなるまでは、仕事、子育て、母親の看病と肉体的にも、精神的にも、疲れていました。
彼女の父親は、幼い頃、離婚して離ればなれです。心打ち解けて話しができる母親は病床に伏しています。そのような中で、彼女はひとりでガンバっていましたが、機内での先輩の一言がキッカケで、ついに、精神的に耐えられなくなってしまったのです。目がうつろになり、子供の面倒も見ることができなくなりました。精神が病んでいることを理解できない夫は、ますます彼女につらくあたります。彼女は落ち込みが激しくなり、病状はますます悪化してしまいました。その後、彼女の夫に面会し、状況を説明し、彼女が病気であることを認識してもらいました。彼も状況が分かり、彼女の病気の回復に協力するようになりました。
心因性疾患と精神病
うつ病やそううつ病などの心因性疾患は、社会が厳しい状態では、誰でもがなり得る病気です。この病気は精神病ではありませんので、このような人は、普段は、普通の人と同じように日常生活をおくることができます。また、話しの内容も理路整然としています。ところが、あることで自信を喪失したり、気力がなくなったりしてしまいます。したがって、よく言われることですが、この人たちには、「がんばれ!」という言葉は禁物です。なぜなら、いままでガンバってきて、病気になってしまったのです。そこに追い討ちをかけるように、「ガンバって」と声かけしてしまうと、本人は、ますます、自信がなくなり自殺することがあるからです。
一方、精神病は、話しに辻褄が合わなかったり、行動がおかしかったりします。もちろんのこと入院させたりします。心因性疾患と精神病は分けて扱う必要があります。
悩みでオーバーフロー
心因的疾患になった人の話を聞くと、抱える問題が重複していることがほとんどです。抱える悩みが一つや二つなら問題ないのですが、これが、もっと増えたり、問題が深刻だったりすることがあります。最初のうちは耐えているのですが、ついに、解決能力の限界を超えてしまい、プッツンしてしまいます。いわゆる悩みからの逃避作用が起きます。
このプッツンが、うつ状態だったり、そううつ病だったり、心因反応だったりします。ストレスから消化器系の病気になる人もいます。悩みを忘れるために、酒にはしり肝臓を悪くする人もいます。何日も、睡眠不足のまま仕事をすれば、腰に負担がかかり腰痛の原因にもなります。
口に出す
悩みは、口に出すと、50%解決すると言われています。ところが、自分の悩みを、他人にはなかなか話せないものです。特に、男女関係や夫婦関係の悩みは、プライバシーに関わることなので、口に出しにくいと思います。しかしながら、口に出すと、問題がどこにあるのか整理ができます。書き出してみるのもよいです。問題を整理してみると、何で私は悩んでいるのだろうと思うこともあります。何が問題なのかよく分からないまま悩み続けていても、いつまでも問題は解決されません。
相談相手
友達は、あなたの悩みやグチを聞いてくれますが、相談する相手ではありません。なぜなら、同じ程度の人生経験しか持っていないからです。人生経験から言うと、両親が一番よい相談相手なのですが、男女問題の悩みなど、なかなか両親に相談するわけにいきません。人生経験があり相談に乗ってくれる人はなかなかいないものです。いきおい、自分ひとりで悩むことになります。そのため、いつまでも胸がすっきりしない状態が続きます。
職場の上司に相談するのも、なにか気が引けます。相談すれば、自分のプライバシーを知られることになります。しかしながら、皆さんが仕事を続けていく上で、個人的悩みはできるだけ早く解決し、仕事にエネルギーを注がなければなりません。私たちの職場では、上司は、皆さんが仕事に集中できるように、支援するのが大きな仕事です。直属の上司でなくてもよいのです。元の上司、所属室のマネジャー、担任教官などでもよいのです。普段から、相談ができる上司や社外の人を見つけておくことが大切です。もちろん会社以外の人で、人生経験の豊かな人がいれば、さらによいのですが・・・。
出遅れる
男性にとって、結婚は人生の中でのひとつの出来事です。結婚によって人生が変るわけではありません。ところが、女性にとって、結婚はただの出来事ではありません。人生が大きく変る可能性があります。したがって、結婚は、人生の中で、重大な出来事なのです。適齢期の女性は、"結婚"という言葉が頭から離れません。そのため、そちらの方にエネルギーをとられてしまっています。結婚した人も、していない人も、それが落ち着くのが30代前半です。それから仕事に集中し始める人が多いのです。
したがって、仕事の面で、男性に遅れをとってしまっています。止むにやまれず仕事を続けている女性も見かけます。ところが、いざ、この年齢で仕事に集中しようと思っても、20代でその下地づくり(準備)が行われていないので、その年齢相応に必要な知識や経験が充分でない状態なのです。これは、男性に遅れをとるだけでなく、初めから仕事を長く続けるつもりできている女性にも遅れをとってしまいます。また、これもストレスの原因になっています。
長く勤める気持ちで
女性も、仕事に対する態度を変える時期にきています。就職は、結婚するまでの腰掛け 的発想では、これからの時代、生き残れなくなります。腰掛け的発想でいると、何をやっても中途半端になってしまいます。ひいては、そのような状態で結婚しても、結婚生活や社会生活もやりこなせません。ある研究に、「仕事で成功している人は、結婚生活もうまくこなしている」とあります。仕事ができる女性は、結婚生活もうまくマネジメントできるのです。長い間、女性の部下を管理してきた経験からも、この意見には同感しています。よい仕事をしてきた人は、よい結婚生活を送っています。
結婚するしないにかかわらず、女性は、長く仕事を続けるつもりで、日々を送ってほしいと思います。そのような人は、上の立場にたっても、部下から頼もしい存在でいることができます。また、家庭生活に入っても、夫にとっても頼りになるパートナーでいることができます。
キャパシティー(Capacity)を広げる
人生の中では、誰でも、同じような悩みを抱えています。悩みを抱えながらも、病気になる人とならない人がいます。それは、その人がもつキャパシティーによります。キャパシsティーとは精神力、体力、知的能力などのことです。若い人は、人生経験が豊富ではありません。その状態で、問題が発生すれば、対応の仕方がわからず、悩むことになります。
体験の足りない分を補うには、他人の体験を知ることが大切なのです。他人が体験したことをまとめたのが本です。文学を読むのもよいです。人間心理の本を読むのもよいことです。そして、自分の経験を増やしていきます。このような努力をしている人は、問題が発生しても対応できますので、ストレスにやられることもありません。
将来の自分を描く
自分が40才になったとき、どのような生活をしているか、イメージできない若い人が、意外と多くいます。皆さんもイメージしてみてください。40才頃には、マンションに住んでいますか、それとも一戸建てですか。子供は一人ですか二人ですか。最初の子供は、小学生くらいですか、中学生くらいですか。ダンナはサラリーマンですか、商売していますか。自分自身は、そのとき家庭に入って主婦をしていますか。仕事を続けていますか。
これらのイメージは、皆さんが無意識のうちに思っている将来目標なのです。おぼろげながらも、これらをイメージできる人は、いつのまにか、この目標に向かって準備しています。40才のときに、中学生の子供がいるとなれば、20代の後半には最初の子供を産まなければなりません。20代後半で子供を産むためには、少なくとも27、8才で結婚している必要があります。こうやって逆算して考えると、今、何をしておかなければならないか分かります。そして、無意識のうちにそれに合った行動をとるようになります。
一方、自分の将来をイメージできない人は、なにをしてよいのか分かりません。したがって「その日暮らし的」日々を送ることになります。いい人が出てくるのをただ待っているだけで、自分からよい人を探す努力ももしません。自分が40才になったとき、50才になったとき、どうしていたいのかは、皆さん次第なのです。一度、自分の将来を描いてください。
これは仕事の面でも同じことが言えます。将来、社内で、自分がどのような仕事をしていたいのか、自分なりに想像できる人は、若いうちからその準備をしています。
すぐ調子が悪くなる人
管理職になると、部下の人事ファイルが手元に届きます。ファイルには、その部下の訓練生時代の成績から始まって、毎年の人事考課が入っています。また、お客様からの賞詞、勤務成績、診断書などもファイルされています。
その中で、毎年といってよいくらい診断書が出ている人がいます。同じ人が、アレルギー性の病気になったり、腰痛になったり、消化器系の病気だったり、とにかく、毎年、いろいろな診断書を提出してきます。なにかちょっとしたことがあると、すぐ病気になります。ところが、このような人で、能力がある人は、一人もいません。むしろ、仕事についていけないので、『休みたい病』になっているのです。
身体が弱いのは、からだ自体に問題がある場合もありますが、キャパシティーがなく、精神的に弱い人がほとんどです。むしろ、客室乗務員になってはいけない人だったのです。大量採用をすると、このような人が紛れ込んでしまいます。
腰痛は精神病
客室乗務員の健康を担当している友人に言わせると、腰痛は精神的病気だそうです。もちろん、器質的に、異常が出て腰痛患者になっている人もいます。しかし、多くの人は、別なところで個人的な問題を抱えていて、それが潜在的な原因になっているケースが非常に多いそうです。個人的な悩みの結果、充分な睡眠がとれないまま乗務をすれば、腰にとってよい筈がありません。普段なら、乗務後も、充分な睡眠をとり休養できるのですが、問題を抱えている人は、あいかわらず夜眠れず、体力の回復が充分なされていません。
腰痛のタイプ
腰痛になるタイプは、だいたい次のように3つに分けられます。
- 器質的に問題がある人
- 腰椎や椎間板などが弱い人
- 能力があまり高くない人
- 仕事についていけないため無理がある人
- 体格的に問題がある人
- 身体バランスが悪い人
腰痛になる人を見ていて感じるのは、明るい人がほとんどいない点です。腰が痛くて明るく振る舞えない人もいると思いますが、生来、あまり明るくないような人が多いと言えます。仕事に対する姿勢があまり前向きでない人が、腰痛になる傾向があります。
このような人が腰痛になると長期化してしまいます。腰痛になっても、普段から前向きに行動している人は、腰痛を乗り越え職場に復帰してきます。それをバネに、その後も、よい仕事をしています。仕事に行き詰ったり、自信がなくなったりした時は、「腰痛になりたい病」になっていますので、注意が必要です。
ある時期、新人に腰痛が多かったことがあります。新人は乗務になれていません。ところが、先輩CAのスピードに合わせて仕事することを求められます。そこで、どうしても無理が出て腰痛になってしまいます。
いずれにしても、腰痛になる人の多くは、精神的に腰痛になっている人が多いと言えます。
離婚問題とガン
ガンの発生要因を研究したレポートを読んだことがあります。喫煙や飲酒、そして、ガン発生物質の摂取など、ガンになる要因はいろいろあります。その4番目に多いのが離婚問題でガンになるケースだと報告していました。
元部下で、婦人科系のガンになった人を何人か見てきました。幸いなことに発見が早かったので、大事に至らずに済みましたが、いずれの人も離婚問題を抱えていました。また、ある客室乗務員は、若い時に母親をガンで亡くしました。もしかしたら、ご両親の間で、離婚に関わるトラブルがなかったか聞いたことがあります。やはり、父親の女性関係で、母親が、長い間、悩みつづけていたそうです。
ある知り合いの男性は、スナックで東南アジア系の女性と懇意になり、サラリーマンローンに手を出し、その女性に貢いで、あげくの果て、借金が500万円になってしまいました。彼の月給は手取りで月20万越える程度です。子供も二人いました。返済する余裕もありません。ローン会社からは矢のように返済請求がきます。そのうち、浮気がばれてしまいました。今度は、奥さんと毎日ケンカです。返済のこともあり、毎日悩みました。そうこうしている内に、胃の調子が悪くなりました。胃潰瘍と診断され、投薬で治療していましたが、ますます悪くなる一方です。再度、検査を受けたところ、発見しにくい胃の外側にガンができていました。手遅れの状態です。彼は38才の若さで病に倒れてしまいました。
離婚は結婚するより難しいと言われています。また、夫婦関係が悪くなると、毎日がストレス状態になります。ストレスを受ける期間が長かったり、ストレスの量が多ければ、それだけガンを誘発しますので注意してください。
夫婦間トラブル
部下から、離婚問題の相談もずいぶん受けました。上司ですから、できるだけ、彼女側に立ち、話を聞き、アドバイスしてきました。浮気であったり、暴力をふるったり、マザコンだったり、ほとんどは相手(ダンナ側)に問題がありました。関係修復の見込みがないケースでは、離婚をすすめました。お互いドロドロの関係でいるより、離婚してスッキリした方が、精神的でよいからです。また、その苦い経験は、仕事面でも、その後の人生でも必ず役に立ちます。
相談に際して、なんでこんなにいい娘が苦労しているのだろう、と思うことがしばしばです。ただ、これだけは皆さんに知っていてもらいたいと思います。
『離婚は、一方だけが悪いということはなく、双方とも何らかの原因を持っている』
ということです。たとえば、性生活があります。妻側が潔癖症であったり、夜の生活に積極的でなかったりすることが原因になっていることもあります。夫がどのように育ってきたのかを知ろうとせず、自分が育ってきたやり方を押し通そうとしていることもあります。
別の言い方をすると、夫婦ひとり一人を見ると、それなりの男性であり女性であることもしばしばです。それでも夫婦関係がうまくいかないのは、どちらが悪いというのではなく、いろいろな点で相性が合っていなかったのです。
結婚の理由
所属チームによって結婚する人や産休に入る人が多かったり、少なかったりすることがあります。チーム内の人間関係が悪かったり、そのリーダーに問題があったりすると、結婚や産休が増えます。反対に、チーム内がうまくいっているところでは、メンバーはなかなかそのチームから離れようとはしません。
女性が結婚する理由に、人間関係に疲れたという人が、意外に多いのです。いわゆる仕事にいきづまりを感じて結婚生活を選んだというものです。その他にも、
- 母親と折り合いが悪いので、逃れたい
- 両親の関係がよくなく、家庭に居場所がなかった
- 女性は結婚すべきと、まわりからプレッシャーがあった
- 自分だけ結婚に遅れたくない
など、結婚する本当の理由が、隠されていることが多々あります。このような理由で結婚した人たちの中には、結婚の意味が分からなくなったり、ちょっとしたことで夫の顔を見るのも嫌になったり、精神的に落ち込むことがあるそうです。
「なかなか結婚しない女、すぐ結婚する女」 海原純子著より
性の不一致
離婚の理由に、「性格の不一致」と表向きいいますが、ほとんどの場合は、「性生活の不一致」であることは誰しも知っています。実際問題、夜の夫婦生活がうまく行っているかどうかは大切な問題です。性的相性が悪ければ、双方とも人間としてどんなによくても、お互い物足りなく感じてしまいます。その意味では、結婚にあたって、相手との性的相性をよく見極めることは大切です。
精力的な人と淡白な人が結婚しても、性生活はうまくいきません。それでも、倫理観で縛られていますので、性的に満足していなくても、ガマンしたりあきらめています。現在、離婚が増えているのは、そのような縛りが少なくなり、行動が自由になったからと言えます。
男が浮気するのは、妻だけでは、性的に満足していないからかもしれません。皆さん自身の性生活はどうでしょうか。淡白ですか、精力的ですか。そして、彼の方はどうですか。心理学的に見ると、結婚は、お互い違うタイプの方がよいと言われています。お互い補う形になり、よい相性となります。ところが、性的な関係においては、同じようなタイプの方がよいと言えます。男性の方が精力的で、女の方は淡白であれば、おのずと結果は見えてきます。
食べ物の不一致
東京の人、特に下町育ちの人たちは、祝い事や行事があるとお赤飯を食べます。東京のコンビニでは、お赤飯のおにぎりを売っています。大阪や九州では、あまり見かけません。
徳川幕府が来る前の江戸は、まずしい漁村でした。皆が栄養不足でした。特にビタミン不足で、鳥目(夜盲症)や脚気などに悩まされていました。ある人が、ご飯を炊くときに、一緒に小豆を入れました。できあがったご飯はおいしく、栄養補充にもなりました。その結果、病気も減りました。それが江戸中に広まり、以来、江戸の人たちは、なにかあるとお赤飯を食べます。筆者が住んでいる下町でも、春の桜祭りでは、今でも、町会の人たちに、食券が配られます。それを持っていくとお赤飯をもらえるのです。東京の人間にとって、ときどき食べたくなるのがお赤飯なのです。あずきアイス、あんみつ、おしるこ、羊羹、これらは、すべてあづきが入っています。これらも東京の人間が好きな甘味類です。
魚も違います。江戸っ子は、東京湾でとれた魚や寒流でとれるものを食べてきました。脂がのっているさんまやさしみも好んできました。関西では、その昔、都の中心は京都でした。料理もそこで発展してきました。京都は、海から離れていますので、新鮮な魚を食するより、いかに保存を効かせるかに腐心しました。同じ魚でも、酢づけにしたり、塩で保存したりしました。九州でとれるのは暖流の魚です。さっぱりした味の白身魚が中心となります。もっと南の沖縄では、日常食べている魚が、東京のものとはまったく違います。
食べ物や味付けの違いが、いつの間にか夫婦関係に影響を与えていることがあります。男性は、食べ物について、かなり保守的なところがあることを知っておくとよいです。結婚相手は、味覚の面からいえば、出身地域が近いほうがよいといえます