飲料サービス講座

 

ベテランチーフパーサーのこだわり

<男性チーフ長谷川さん編>

ここでは、ジャンボジェット機時代に活躍していたベテラン男性チーフパーサーのサービスへのこだわりを紹介します。


Bar Unitは表舞台

 

CAの中には、Bar Unitは裏舞台だと勘違いしている人がいる。ホテルのバーを思い浮かべてみて欲しい。バーテンダーがお客様に、お酒の調合をパフォーマンスとしてさりげなく見せている。機内も同じです。

 


Bar Unitの上はきれいに!

 

きれいに見せるにはシンプルが一番です。必要最小限のものしか出しません。Display用に、グラスは少し並べますが、グラスや氷をDrawerごと出すことはしません。お酒のボトル等も、原則的には、その都度しまい、必要最小限のものしか置きません。そうすることによって、グラスやボトルを倒してしまう確率を低くし、Bar Unitが汚れるのを防ぎます。トマトジュースをこぼしてしまったら、そこで、チーフは店じまいするぐらいの覚悟でいます。

 


氷へのこだわり

 

氷の大きさや量は、飲物をおいしく見せるために必要不可欠な要素です。「コーラぐらい、チーフの手を煩わせずに自分が・・・」というCAの気持ちも分かるが、一杯目のコーラには、チーフの目にかなったこだわりの氷を入れたいと思っている。そのため、最初の一杯は、かならず自分が調合することにしている。もちろん、グラスへ注ぐ分量や冷え具合にも最新の注意を払っている。

 


後輩へひと言

サービスは一つ一つ丁寧に
言葉づかいから始まって、一つ一つ丁寧におこなって欲しい。
サービスはゆっくりそして早く
ゆったりとして雰囲気の中にも、テキパキした動作が必要です。そして緩急あるサービスができるようになると一人前と呼べます。たとえば、オードブルサービスでは、いちいち説明しなくてもよいお客様もいれば、興味を持っている方もいます。状況によって対応します。
Galley Duty
限られたスペースを有効に使える人が少ないように感じる。そして、全体的に言えることは、整理整頓の面でも弱いです。
サービスに追われる
サービスが始まると余裕がなくなってしまい、サービスそのものがだんだんせわしくなっていきます。あせらずゆったりと行動してください。
料理だけに目を奪われるな
料理を出すことだけに目を奪われないで欲しい。座席まわりにゴミがないように。空のオツマミやイヤホーンの袋、アペリティフのグラス等が出しっぱなしになっていないか。お客様には、いつも気持ちよく食事ができる環境を整えるのもサービス側の仕事です。意外に無頓着な人がいます。

 


<男性チーフ花原さん編>

レストランで食事をする場合、日本より外国の方が楽しい経験をお持ちの方もいるでしょう。国民性の違いで、外国のレストランのウェイター・ウェイトレスは、かならず笑顔で話しかけ、 "Is everything all right?"と気を配ってくれます。

日本の場合は、決まりきった言葉しかしゃべらないし、妙に気取っていて親しめないところがありますウェイター・ウェイトレスは、オーダーを取って注文の品を運ぶだけでなく、雰囲気づくりにも気を配るべきです。

見せるサービス
お客様への気配り、思いやりの上に、サービス技術がスマートだったら、更にすばらしいと思います。私もホッとくつろげる雰囲気づくりを心がけていますが、それに加えて、キビキビさ・けじめ・メリハリがあるサービスができるように努力しています。それをお客様に見ていただいています。

 


Ice Cube

 

ファーストクラスのAperitifを例にあげると、ウィスキーの水割りやOn the Rockを調製するとき、ウィスキーの広告ポスターにあるような涼しげさを表現するようにしています。Ice Cubeを少し砕いて、角張っていて涼しさを感じるようなもので見栄えをよくします。四角い立方体のIce Cubeを3段重ねでいれるのは、見栄えも悪く、おいしそうではありません。

 


ペリエ類の提供

 

ミネラルウォーターやペリエは、お客様の目の前で注がなければ意味がありません。GalleyやBar Unitで注いでいっても、別に味が変わるわけではありませんが、お客様に与える印象はまったく違います。

 


ラベルを見せる

 

ウィスキーの水割りでさえも、指定された銘柄のボトルを、お客様の前で見せて調製する方がスマートだと考えています。ワインのみならず、コニャック、シェリー等何でもラベルを見せるとサービス効果があります。そのためにAperitiサービスはWagonで行くようにしています。最近はWagonサービスがしにくくなっているのが残念です。

 


Wagonサービスのすすめ

 

Wagonサービスだと、注文された飲物を持ってCabinを行ったり来たりする必要がありません。人の行き来が少ないだけ、ゆったりと優雅な雰囲気の静かなCabinが保てます。

Wagonでサービスすると、オーダーを失念することもありません。スキップも防止できます。Wagonサービスだと一人でできますので、他のCAは別のことをする余裕が出てきます。(現在ファーストクラスではWagonサービスは行なっていない)

 


<男性チーフ石原さん編>

機内サービスは、Cabin Crewのスキルとお客様の期待度との一本勝負です。そして、かならずCabin Crewが勝つことを求められます。同じ力なら、一歩踏み込むことにより、勢いがつくことになります。私は一歩踏み込むことにこだわります。

 


グラスを大切に

 

AperitifからLiqueurまでのロングランで活躍するグラス類に注意を払っています。サービスをスタートする前に、必ずグラスをひと拭きすることにしています。洗浄後の曇りや小さな傷にも気がつきます。透きとおったグラスに適量の飲物を注ぎます。レモンの切り方も工夫します。コースサービスの中で、脇役のグラスですが、使用する数は大変なものです。

 


使用済グラス

 

下がってきたグラスは、極力、未使用のものとは、別のところに収納します。やむを得ず同一のDrawerに収納する場合でも、奥の方に入れます。Bar Unitに置くのは厳禁です。

グラスを意識すると、コースの流れが見え、また、Bar Unitの整理整頓、そして、Cabin全体への気配りにもつながります。

 


 

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