キャビンアテンダント・フライトアテンダントのための
≪文書作成講座≫

 新聞はなぜ読みやすいか

新聞には、文字がぎっしりと書かれています。しかし、誰も、新聞が読みづらいと思いません。皆さんの職場で配布される社内情報や業務指示文書は読みやすくなっていますか。筆者が在籍していた会社では、Crewのメールボックスに会社情報が配布されていました。この資料は、一行の幅が広く、文章自体も長くて、あまり読む気になりませんでした。一度読んだだけでは、何が書いてあるのか、頭に入ってこないからです。

今度、新聞の一段落の文字数を、数えてみてください。新聞社によって多少違いますが、一段11文字もしくは12文字です。その幅は、32mm前後です。この文字数と幅が、新聞を読みやすくしている理由のひとつです。


 

ひとみが動かない

新聞を読んでいるとき、ひとみはあまり動いていません。新聞は、ひとみを動かさなくても読めるよう、一段の幅を小さくしてあります。

ところが、社内文書などで、A4版横サイズ紙面に、文字が横に長く書いてあることがあります。読み手側は、一行読むのに、ひとみを左から右へ動かさなければなりません。下手すると、首まで左から右へ振ることになります。 ひとみキョロキョロ、首フリフリさせるような文書は、読んでいて嫌になる文書です。

企業や個人のホームページでも、一行の横幅が長く、画面の左側から右側まで使っていることがあります。やはり、読むのが嫌になることがあります。一方、たいていのブログページは、文章を書き入れる部分は幅が狭くなっています。ひとみキョロキョロさせずに読めるようにできています。両側に広告を入れるというブログ提供企業の事情もありますが・・・。


 

文書は読ませるな

文書(特にビジネス文書)は、読んでもらうために書くのですが、読ませてはいけません。見ただけで、何が書いてあるのか、分かる文書づくりが必要です。そのためには、

 *余白をうまくとる
 *センテンスを短くする
 *読ませる文字をなるべく少なくする

などの工夫が必要です。

    


 

左側余白はファイル用

PCで作成する社内文書は、ファイルに保存しておくことが多いものです。左側余白が少ないと、開けた2穴に文字がかかってしまいます。さらにファイルされた書類をめくって読むとき、余白が足りないと、左側の文字が読みにくくなります。そのため、左側余白は、右側余白より、やや幅を広くとります。


 

センテンスの長さと呼吸

社内文書を読んでいると、なんだか、そこに書かれた文章が頭に入らない、と感じるときがあります。センテンスの長さと、呼吸が合っていない時がそうです。    

センテンスが長すぎると、読み手は、なかなか一息入れられず、苦しいまま読み続けることになります。息が苦しいから、文章の内容が頭に入ってきません。呼吸が合わない文章も、読みづらい文章です。


 

句読点の打ち方

読んでいる途中で、呼吸を楽にしてもらうのが句読点です。特に、読点「、」の少ない文章は、読みにくいと言えます。その典型が、学者の書く論文です。また、文章を書き始めの人も、「読点」を入れるのが下手です。

呼吸に合ったセンテンスの長さは、だいたい15文字以内です。一つの文が15文字近くなったら、「読点」を入れます。

A. 新聞には文字がぎっしりと書かれています。
読点がなく、19文字になっています。息もつかずに、イッキに読まなくてはなりません。
B. 新聞には文字がぎっしりと、書かれています。
読点がありますが、Aと同様、イッキに読まなければならないような読点の入れ方です。
C. 新聞には、文字がぎっしりと書かれています。
「新聞には」で、いったん呼吸を整えさせ、次を読む準備をさせている。
D. 新聞には、文字がぎっしり、と書かれています。
違う意味になってしまう。
E. 新聞には、文字が、ぎっしりと書かれています。
前後の文章との関係や著者の好みで、「文字で」の後に、「読点」を入れることがある。

 

読んでみて、どの文章が、呼吸しやすいですか。意味が素直に入ってきますか。


 

体現止めと句点 

ビジネス文書では、

体現(主に名詞)で文を止める「体現止め」の文末には、句点を用いないのが一般的です。
体現止めの文章が連続する場合には、その間には句点を入れ、後の文章の末尾には入れない使いかたもあります。

「分かりやすい技術文書・ビジネス文書の作成手法」よ

旧JALエクスプレス社のCA募集要領では、

 

採用人数 相当数(今後、人員計画等を精査し確定します)
学歴 入社時に高校卒業以上の学歴を有する方。
語学 日常会話程度の英語力を有すること。
居住地 会社の指定する勤務地にて勤務可能なこと。
雇用形態

1年間の契約社員

(ただし、会社が必要とし、かつ本人が希望した場合には契約を更新することがあります。)

通勤費 当社規定により支給
勤務形態 1ヶ月単位の変形労働時間制。
休日 月間8日以上
制服 当社規定に基づき貸与。

となっています。ビジネス文書ですので、体現止めが多く使われています。この募集要領では、末尾に、句点を打ったり、打たなかったりしています。句点があったり、なかったりでわずらわしい文書になっています。このような羅列した書き方のときは、余計な句点は外したほうが文書がスッキリします。

さらに、カッコ内の文書の終わり(・・・。)の句点も、打ったり、打たなかったりしています。(後述参照)

社外に文書を出すときは、文書規定をしっかり勉強して、恥ずかしくないものを掲載して欲しいものです。


 

一つの文を短く

− とにかく文章は短くしろ− 

これは、筆者が30才の頃、Bulletin Boardに掲示するCAへの指示文書を書く仕事をしていた時、いつも上司に言われた言葉です。テンポよく読める文章は、句点「。」から次の句点「。」までを短くしてある文章です。

一方、文章が長いと、何が言いたいのか、ボヤけてしまいます。

    『わが社は、よい会社であるが、最近は、給料は下がるばかりで、

                               仕事もきつくなってきている』

この文では、「良い会社」「給料が下がる」「仕事がきつい」の3つの内、どれが言いたいのが不明瞭になってしまいます。  

    『わが社は、よい会社です。しかしながら、

              最近は、給料は下がるばかりです。仕事もきつくなっています』


というように、「よい会社です」で、いったん文章を切るとスッキリします。さらに、テンポよく読めます。また、内容も頭に入ります。


 

カッコ内は句点不要

文章を引用したり、会話体にしたりするとき、カッコ記号を使います。かぎカッコ内の終わりに、句点「。」が入っている文を見かけます。このときは、句点は、入れないのが基本です。「」が句点の代わりを果たします。また、カッコの前に読点「、」を入れると、読み手が一呼吸できますので、カッコ文が読みやすくなります。また、視覚的にも、読みやすくなります。

 今日、教官から「全員、訓練合格です。」と言われました。

               

 今日、教官から、「全員、訓練合格です」と言われました。

(カッコ前に読点を入れます)

 


 

カタカナは半角で

パソコンで、文書を書く機会が多くなりました。Wordなどパソコンで文書を書くときは、数字、カタカナ、アルファベットは、半角サイズの方が読みやすいときがあります。
  A 「パソコンで文書を書くときは、数字、カタカナ、アルファベットは・・・」
  B 「パソコンで文書を書くときは、数字、カタカナ、アルファベットは・・・」


上記2つの文章では、カタカナのサイズを、Aでは全角、Bでは半角にしてあります。カタカナは、一般的に、外来語をカタカナ読みにしていますので、文字数が多くなります。そのため、全角で書くと、横に広がります。そして、あまり広がりすぎると、目に入りにくくなります。

日本の漢字は、四字熟語までです。それ以上の熟語はほとんどありません。日本人の眼は、五文字以上の単語に慣れていません。目に入りにくいのも、読みづらい文と言えます。アルファベットも、半角入力の方が見やすくなります。当塾サイトでは、塾長作成コンテンツは半角カタナカにしています。これは当塾の方針です。皆さんのご意見は・・・。

文書の中で、カタカナを半角・全角混ぜて使っていることがあります。これも読みにくい(見にくい)文書となります。

但し、Eメールでのカタカナは、全角で書く必要があります。半角文字を入れると、文字化けすることがあるからです。


 

漢字とひらがなの割合

漢字が多いと、その文章は、硬い印象を与えます。反対に、ひらがなが多いと幼稚に見えます。

文章の中で、漢字の割合が5割を超えると硬い印象になり、3割以下だと幼稚に見えます。漢字が4割前後の文章が、読みやすいと言われています。文章を作ったら、漢字とひらがなの割合を、数えてみてください。漢字の割合が5割近くあったら要注意です。ひらがなで書いても問題がないところは、ひらがなにして調整します。文書の最後で調整する方法もあります。例えば、

  「〜お願い致します」 ⇒ 「〜お願いいたします」

というようにします。


 

漢字はキーワード

やたらと漢字を使わない理由がもうひとつあります。多くの日本人は、文章を読むとき、目で漢字を拾います。そして、それをキーワードにして、その文章の意味を理解します。文章の中で、キーワードにならない漢字を多用すると、大切な漢字の邪魔をすることにもなります。


 

ひらがなにする

接続詞・副詞・連体詞・助詞・助動詞などはかな書きにする。

  

及び 





および




〜と言う




からという
且つ かつ 〜位 〜くらい
更に さらに 〜丈 〜だけ
従って したがって ほど
因み ちなみに こと
申し上げる 申しあげる 通り とおり
〜有る 〜ある とき
〜下さい 〜ください ところ
〜の様に 〜のように もの

  


 

文書を書いていない人

CA受験生のエントリーシート(ES)を添削していると、普段から文章を書いている人かどうかすぐに分かります。句点の打ち方や漢字の使い方が違うのです。普段から本などで文章を読んでいないこと(=勉強不足)も分かります。

また、最近は、PCで作成することが多くなっています。自筆で書いたら、書かない、書けない漢字まで、漢字変換しています。たとえば、「すてき」はどうですか。自分のノートに「素敵」と書きますか。「宜しく」を、普段、漢字で書きますか。

本や雑誌を読むとき、句点や漢字・ひらがなの使い方を意識して読んでみてください。


 

意味による使い分け

*「事」と「こと」

  (A) の発端は、思いもしないミスであった。

  (B) 考えてみたこともない。

*「時」と「とき」

  (A) には朝早く起きて、散歩でもしたいものだ [ある時期・時点]

  (B) 親孝行、したいときには親はなし。 [状況・仮定・条件]

*「所」と「ところ」

  (A) カメラに向かって立つ所を決める。 [場所・位置]

  (B) 意思の疎通がないところに、失敗の原因があった。 [状況・理由]

*「物」と「もの」

  (A) 物をなくしてしまった。 [具体的な物品]

  (B) 正しいものかどうか分からない。 [抽象的な存在]


成川式「文章の書き方」より

 


 

Eメール、インターネット掲示板での文章

インターネットの時代になり、仕事以外でも、文章を書く機会が増えました。特に、メールや掲示板への書き込みは、多くの人が読みます。読み手のために下記の点に注意しましょう。


 ・ 一行30〜35文字くらいで改行すると読みやすい 
(横幅が広がらないために)
 ・ 改行するのを忘れない (文章がどこまでも横に長くなってしまう)
 ・ 適度に1行段落をあける (空白をとる)

改行方法 ・・・・ Enterキーを押す


 

平易な文章

再度読まないと理解できない文章は、大学教授にまかせましょう。文章はできるだけ平易に書くことが大切です。とくに、不特定多数の人たちに読んでもらう場合は、なおさら重要です。

文章に箔をつけようと、つい難しい言葉や漢字を使う人がいます。文章を書く目的は、それぞれ違うかもしれません。しかし、多数の人に読んでもらう目的の場合は、だれが読んでもすぐに理解できる平易な文章にします。大学を出ている人でさえ、読解力はそれほど高くはないからです。


 

校 正

書いた文書は、かならず、一字一句声を出して読みます。声を出して読むと、文章の長さと呼吸が合っているか確認できます。長すぎれば句読点を入れたり、文章を短くします。

また、一字一句声を出して読むことによって、"てにをは"の間違いを見つけることができます。さらに、パソコンで打ちした文書は、結構、打ち間違いや文字の変換間違いをしてます。


 

推 敲

文章内容に、

  おかしなところがないか
  理論展開に問題はないか
  表現が適切か

などの確認をするのが推敲です。これも大切な作業です。面倒臭がらずに行ってください。


 

文書講座

ここまでの内容は、どうすれば、読みやすい「文書」になるかというものです。よい「文章」の書き方については、いろいろ本が出版されていますので、それを参考にしてください。たとえば、

     「日本語練習帳」 大野 普著 岩波新書

があります。とても役に立ちます。

  「私はそう思います」
  「私はそう考えます」 

では、意味が違います。どう違うか解説しています。     


≪参考文献≫

成川式「文章の書き方」 成川豊彦著
「センスある日本語表現のために」 中村 明著
「本を書くための本」 千尾 将著
「日本語練習帳」 大野 晋著

 
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