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▼ゆーさくさん:
帽子については、男性と女性、それぞれ違うマナー・エチケットがあります。その成立ちについて書いてみます。
男性の帽子は、中世ヨーロッパの騎士道の甲冑からきています。騎士道も、武士道と同じように、礼法を重んじていました。騎士たちは、戦いには、甲冑(Helmet)をかぶっていました。歴史ものの映画などで、馬上の騎士たちがかぶっているのを見たことがあると思います。この甲冑は、顔をすっぽりを覆いかぶしています。そして、騎士たちは、日々、武道の修練をしていました。剣での試合や、一対一の果し合いを始めるにあたって、甲冑の中の顔を見せるのが礼儀でした。甲冑は、目の部分(Helmet Visors)が上にあがるようになっています。現在でも、町中で、紳士たちが、人に会ったとき、帽子をとって挨拶をします。この帽子をとるしぐさは、騎士たちの試合の前の挨拶から来ていると言われています。
男性の帽子は、元来、戦いや狩などで、頭を守るためのものでした。したがって、頭を守る必要のない場所、つまり室内などでは、帽子をとります。ゴルフ場などでも、食堂に入るときは、食堂の入り口で、帽子掛に掛けてからテーブルについていますね。これも同じ発想です。また、女性の前では、帽子を脱がなければなりません。
一方、女性の帽子は、定かではありませんが、冠からきているのではないかと思います。そして、頭を守るためだけではなく、服装の一部、ファッションとして発展してきました。したがって、女性は、帽子をとらなくでもよいのです。ただし、女性の帽子着用は、昼間の明るいときのものとなっています。ドレスに合わせた帽子は、正式なランチパーティ(Luncheon)やレセプションパーティなどで着用します。夜のイブニングドレスのときは、帽子はご法度となっています。
男女の帽子については、このような歴史的背景があります。列車内で、車掌さんが客室入り口で、帽子をとって、おじぎをしているのは、とても日本的な感じがします。ヨーロッパでは、個室風のコンパートメントが多くあり、構造の違いもありますが、車掌さんは、デッキから客室に入るときに、制帽をとるしぐさはしていません。ただ、ご婦人客の切符を検札するときは、ちょっと帽子をあげるしぐさをすることがあります。日本の場合は、おじぎがありますので、それに付随して帽子をとっているのかと思っていました。
スチュワーデスの世界でも、昔は、制帽がありました。彼女たちは、旅客搭乗のときは着帽して、飛行機のドアーが閉められると脱ぎました。機内では、食事サービスなどがあるため、飛行中は、制帽はとっていました。空港などの公共の場では、制服着用時には、制帽の着用が決められていました。男性客室乗務員も、同様に制帽がありましたが、やはり機内では脱いでいました。残念ながら、この制帽も、時代の変遷と制服の費用削減からなくなってしまいました。
列車の場合は、客室を、室内ととらえるのか、公共の場としてとらえるかによって、男性の場合も、脱帽するかどうか決まってくると思います。現在のところ、公共の場として考えられているのだと想像しています。
このように、帽子については、男性と女性では違うとらえ方となっています。同じ制帽でも、スチュワーデスの場合は、機内では脱いでいました。車掌さんの場合は、デッキから客室に入るとき帽子をとって挨拶をするというのが慣わしのようですね。女性の場合は、客室に入るたびに脱帽して挨拶するのは、女性が一番大事にしているヘアースタイルの乱れにもつながりますので、そのことについての配慮も必要かと思います。ただし、女性といえども、制帽ですので、その取り扱いは上司(会社)が決めてよいと思います。
参考までに、帽子のマナーについて書いてあるHPを見つけました。右上の「W」をクリックしてみてください。当HPでも、スチュワーデス現役用に「マナー・エチケット講座」があります。併せて参考にしてください。
>初めてお便りします。
>私はスチュワーデスではなく、某鉄道会社の車掌(経験17年)です。
>最近になり、女性乗務員も登用するようになり、またアルバイトではありますが、特急列車(私どもの会社の看板です)の改札要員としても採用をしております。男性の接客マナーについてはある程度勉強もしてきておりますが、女性特有のマナーとなると???というのが本音です。
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>そこで、先輩である航空機の女性乗務員の方々に質問です。
>デッキより客室に入るとき(および出るとき)に男性は、脱帽し一礼しますよね。女性の場合は着帽したまま礼をすればよいのでしょうか?それとも男性と同じように脱帽するものなのでしょうか?
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