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▼ムーミンさん:
「国際感覚」という言葉を使いましたが、異文化と考えてよいです。国際的な仕事をするということは、他国の人たちと接することを意味します。
日本の英語教育で欠けているのは、言葉だけ教えて、その国の文化を教えていない点です。たとえば、"How do you do ?"は「はじめまして」の意味だと教えます。ところが、"How do you do ?"と言うとき、英語国の人たちは、握手をするのですが、それと同時に、相手の目を見るのです。日本では、そこまで教えていないので、日本人は握手するとき、おじぎをしてしまいます。
飛行機の入り口とボーディングブリッジの間に段差があることがあります。男性乗務員は、段差で婦人客がつまづかないように、飛行機の外側(ボーディングブリッジ側)に立ち、手を差しのべます。海外旅行で、観光バスから降りるとき、運転手さんが下に立ち、やはり手を差しのべています。このとき、欧米のご婦人方は、当然のごとく、さりげなく手を出します。日本の女性は、これができません。日本の社会では、このようなことはしていませんので、どうしたらよいか分からないので、モジモジしている間に、せっかくのタイミングを外してしまいます。相手の思いやりを受け止めることができずに終わってしまいます。
欧米社会では、レィディファーストの精神が発達しています。女性優先、女性を守る考えが広く行きわたっています。エレベーターや車に乗るとき、女性がいれば先に乗せます。それ以外でも、いろいろな場面で、女性をエスコートします。反対に、女性は、エスコートされるにふさわしい振舞いをします。
お互いのやりとりの中では、「今日のあなたのお洋服、素敵ね」と言われれば、素直に、「ありがとう、ほめていただいてうれしいわ」と答えます。さらに、「あなたも今日は素敵よ」とお返しをします。日本では、「私なんか、何を着ても似合わなくて」などと言います。謙遜するのが、日本でのやり方です。
以上は、マナー・エチケットでのいくつかの例です。これらマナー・エチケットの他にも、その民族が持つ価値観、宗教観、風土など、いろいな面で、文化の違いがあります。
タイでは、子供の頭には精霊が宿ると言われていますので、頭をなでてはいけません。中国人の間では、時計は時を刻むことから、贈り物としてはふさわしくないです。ハンカチーフは、人が亡くなったりして、悲しみのときに使うので、涙をさそうことからやはり贈り物にはしません。イスラム教国では、町の中で、男性同士が手をつないで歩いています。ラテン系の人たちは、つばが飛んでくるくらい近寄って話をします。どの民族も、それぞれの文化を持っています。
ビジネスの相手にしろ、友人にしろ、異文化の人たちと接するときは、お互い、相手の文化を知り、その文化に敬意を払うことが必要なのです。語学だけでなく、その背景にある文化を知っている人が国際感覚のある人だと言えます。マナー・エチケット面では、欧米のものを知っていれば、どの国に行っても通用するのが現代社会です。
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