入社してから数年・・・訓練中にみっちり頭に叩き込まれた航空用語、そしてサービスの流れ。
私たち現役が、普段、当たり前のように使っている言葉は、実は各航空会社によって微妙に違っているもの。J系→A系、A系→J系、外資→日系、日系→外資のようにトランスファーされる方もいらっしゃいます。でも、一度身についた知識はなかなか抜けないものです。
「他の航空会社のCAは普段どんなフライトをしているのだろう・・・?」
そんな素朴な疑問から、まずは国内のJAL系とANA系に焦点を当て、大比較研究をしてみました。
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~このページを見る前に~
JAL・ANAで、同じことなのに違う用語や言い方をしている部分には、赤字で表記しています。
詳しい内容については第6回で掲載する、比較用語集で詳しく解説しています。
また、サービスの流れ等は、各社で随時変わっていくものです。そこで、「これは現在実機ではこういう風にしている」「この内容はちょっと間違っているかな・・・」「私もトランスファーした経験があって、私のときはこんな感じだった!」などなど、ご意見・ご要望・ご感想、さらに皆さんの会社での違う表現や言い回し等があれば、書き込みコーナーへにぜひコメントをして下さい。 皆様からのコメントをもとに、より充実したページにしていきたいと思っています。
ここを、Crew同士のコミュニケーションの場にしていきませんか。皆様のご参加をお待ちしております!
マークにカーソルをあててみてください。
第1回 ~出社からブリーフィングスタートまで~
Jさんのあるフライト
JL○○便(国際線)
- 空港到着
- ・ロッカーで制服に着替える
- ・CAROLで出社確認
- ・業務内容変更等は、各自iCoで事前確認
- ・グループマネージャーにご挨拶
- ・個人用メールBOXで配布物C'K
- ・必要書類ピックアップ
- ・CH(先任客室乗務員)にご挨拶
- CH業務
- ・各室にあるCAROLでアロケーションチャート作成
(Crew listとCrewのDuty履歴を勘案しながら)
- ・お財布(Cash Box)のPick
upを指示
- ・顧客情報の確認 各自icoで行う
- ・PAX InfoをオペセンのKI旅客オフィスで受領
- Show up
- Show up時間は便出発時刻より1時間45分前
- CA顔合わせ
- アロケーションチャートをCHより受領
- ジュニアが全員分のコピーをする
- ※往復でアサインが異なるため、往復分で2枚のアロケーションチャートを受領
- 担当ポジションのsafety関連事項を確認
- 今日の機材は78(ナナハチ)です
- ブリーフィングスタート!
Aさんのあるフライト
NH○○便(国際線)
- 空港到着
- ・ロッカーで制服に着替える
- ・CATSで出社確認
- ・Kwinで業務連絡の確認
→(Kwinは自宅でもネットで確認ができる) - ・当日のアロケーションチャートを個人がプリントアウト
→(CPが事前に打ち込みをしている - ・CP(主客室乗務員)にご挨拶
- CP業務
- ・OPE(オペレーション)担当者とブリーフィング
- ・金銭バック、海外用携帯電話等を受領
→(ANAでは米テロの後緊急連絡時用にCPに一台貸与することとなった) - ・AFIT(顧客情報)の確認
- Show up
- Show up時間は便出発時刻より
- B4&B7長距離・・・1時間40分前
中短距離・・・1時間30分前 - CA顔合わせ
- アロケーションチャートではCabin、GLYのアサインはしていない。各クラスのPSがその日により決定する
- 担当ポジションのsafety関連事項を確認
- 今日の機材はB8(ビーハチ)です
- ブリーフィングスタート!
・書き込みコーナーへ
第2回 ブリーフィング
- ブリーフィング
- CH「それではブリーフィングの前に1分間体操を始 めます」「それではブリーフィングに入ります」
必携日(ID、Ico 、パスポート・顔写真)・健康状態のC'K、Door Mode変更時の連絡方法の確認
- ・MIDインチャージよりPAX information、
SVCフローの発表
各クラスインチャージより、クルーへの周知事項・目標等を発表
- ・使用機材の緊急対応時用ビデオを全員で視聴
MGRから伝達事項を発表 by CH
- ・Compartmentごとに集まりショートブリーフィング
→JALではCクラス、MID、AFTに分かれ、それぞれインチャージがアサインされ取りまとめる
-
- ・オペセン(オペレーションセンター)を出て、いよいよGateに直行!
- ・準備ができた人から、それぞれShipへ向かう
-
- ブリーフィング
- ・CP「00X便、ブリーフィングを始めます。CPの○○です・・・」
携行品(ID、パスポート)・健康状態のC'K
各クラスPS・役割(セールス担当・SAFETY担当・ANN担当)の紹介 - ・緊ブリのスタート
(緊急ブリーフィングで各ポジションの担当区分、ドア操作、緊急時の対応、プリフライトC'Kの方法等を発表する。時間の関係で3.4人当たる)
- ・クルーへの周知事項(当該便におけるCPからの目標設定や、OPEからの連絡事項)
- ・各クラスに分かれてクラスブリーフィング実施
→ANAでは、各クラスにPSが一人アサインされ、Yクラスが広いコンフィギであってもPS一人で取りまとめる(PSによってはまとめ役を立てることもある) - ・スカセン(スカイセンター)を出て、いよいよGateに直行!
準備ができた人から、それぞれSHIPへ向かうが、できればケータリングC'K担当者は早めに向かった方がベター・・・
・書き込みコーナーへ
第3回 CAボーディングからドアクローズまで
- Crewボーディンク(Ship In)
- プリフライトC'K
- ・ドア確認、担当のSafety機材の確認
- ・Sqwark Log book
の確認(CH)
- ・IFE/VTR&PA C'K
- ・GLY担当者は担当のミールナンバーを確認
→MID、AFTにそれぞれGLY担当者がアサインされている
小出しBoxセット等GLY作業用の準備
- ・セールス担当(通称ドル$担)がセールスの打ち込みを行う($1・$2の担当者がいる)
-
- コックピットによるEmergencyシステム一斉点検
- コックピットブリーフィング
- セキュリティーチェック
- ボーディングスタート!
- Welcomeシャンペンサービス(ファースト・ビジネス)
- ・Baggageチェック担当者が一人アサインされ、Gateでお客様をお迎えする(機材による)。その際、機内持ち込み制限の大きさを超えるBagをお持ちのお客様には、貨物室への搭載をお願いすることもある。その他、不審者等、お客様のチェックを行う。
- ドアクローズ
- ・CH「業務連絡です。乗務員はドアモードを Automaticに変更してください」
- ・いよいよ離陸!
- CAボーディンク
- プリフライトC'K
- ・ドア確認、担当区分の装備品の確認
- ・キャビンコンディションシートの確認
- ・VTR&PA C'K
- ・ケータリングC'Kにアサインされた人は、クラスすべてのミールを数える (CAに余裕があればヘルプがいることもある)
→その日によってPSがGLY担当者をアサインするが、R4(B4/B7・B6はR2)=ケータリングC'Kの場合が多い
- コックピットブリーフィング
- コックピットによるEVAC C'K
- セキュリティーチェック
- ボーディングスタート!
- ・(例)Yクラス担当4名→・パーサー
ケータリングC'K
セールス打ち込み(PS以外)
ビジネスクラスのヘルプ
- ドアクローズ
- ・CP「Cabin crew, Door for departure」
- ・いよいよ離陸!
・書き込みコーナーへ
第4回 離陸後サービススタート!
- 離陸合図
- ベルトサイン「ポーン、ポーン(2回)」
- ベルト着用サイン消灯後、サービススタート!
- ・新聞(状況による)
- ・おしぼり(トレイ) 後刻回収
- ・
Liqourサービス
- ※近距離路線では、ミールとリカーの同時サービス(エコノミークラス)
・Mealサービス
- ・ホットビバレッジ
- ・回収
・入国書類配布(搭乗時に配布することもある)
- ・セールス(ハーフカート×2台)
- ・LAVチェック
JALではごみを上から押さえつけたり、床に落ちたゴミを拾う用に長めのトングが搭載されている
・乗務員のお食事タイム(交代制)
・乗務員のレスト(交代制)
・セカンドミールサービス
※内容によるが、だいたい到着1時間30分~2時間前
- ・到着1時間前にArrival Information
- ・CABIN、GLYのクリア 着陸準備
・CABIN見回り、GLYのStopper&Latch C'Kを 行う
-
-
- ・コックピットより10000ft通過通知後、ベルトサイン点灯(3分以内にCAも着席)
-
- 離陸合図
- ベルトサイン「ポーン、ポーン、ポーン、ポーン(4回)」
- ベルト着用サイン消灯後、サービススタート!
- ・書類・新聞
- ・おしぼり(トレイ)
- ・回収(トレイ)
- ・アペカートでドリンクサービス×2回
- ・回収
- ・ミールサービスCA
- ・アイスクリーム
※長距離はお食事後、近距離は到着前にアイスクリームをサービスをする
- ・ホット
- ・回収
- ・セールス(フルカート×2台)
- ・LAVチェック
ANAはゴミを上から押さえつける時は手袋を使用して、手で行う - ・乗務員のレスト(交代制)
- ・セカンドミールサービス
※どんなサービスでも2時間前に行うことが多く、ANAはセカンドサービス開始が早い。 - ・到着1時間前にArrival Information
- ・CABIN、GLYのクリア
- ・禁煙サインが消→点→消→点(L/D10分前の合
図)、及びベルトサイン点灯
※ANAはコックピットから10000ft通過コールなし - ・CABIN見回り、GLYのLatch&Lock C'Kを行い着席
・書き込みコーナーへ
第5回 着陸からデブリまで
- Landing
- B/In後
「業務連絡です、乗務員はドアモードをマニュアルに変更してください」(CHアナウンス)
- ・ドアモード変更の相互確認
- CHからALL CALL
「ドアモードの確認を行います
L2R2 マニュアルOKです
L3R3 マニュアルOKです
L4R4 マニュアルOKです
最後に・・L1R1マニュアルOKです。
お疲れ様でした!」
Lサイド側のクルーが前から順番に報告する
PAX降機後、忘れ物C'K・Lock&Sealの確認
自分の持ち物を忘れてないですか
- (通称アイアイ・チェック)
- ~FLIGHT お疲れ様でした~
- デブリ
- ・外地到着時は基本的に行わず、日本帰着後往復分のデブリを行う
-
解散!!
- Landing
- B/I後
ベルト着用サイン消灯を各自が指差し確認し、セレクタ
ーレバーをマニュアルに移動する
セレクターレバーの相互確認
PAX降機後、忘れ物C'K・Seal& Lockの確認 - ・~FLIGHTお疲れ様でした~
- デブリ
- 外地到着時は、ホテルまでの移動バス内でデブリを必ず行う。バス内で終了しない場合は、ホテルロビーで行うこともある
- 解散!!
・書き込みコーナーへ
第7回 トランスファー経験者との座談会
ANAグループからJALグループにトランスファーされた方と、JALグループ現役CAとの座談会を行いました。
出席者 | | ANA出身 | | JAL出身 |
- Aさんは両会社の訓練を受けられたわけですが、訓練中に戸惑ったことはありましたか?
- もちろん用語の違いがあって、覚え込むのがとても大変でした。筆記テストでは何とかクリアできることでも、緊急脱出時の模擬テストや、発表しなければならない場合など、緊張している時はとっさに以前覚えていた言葉が出てきてしまうものです。私は緊急脱出の際の模擬テストで、つい以前覚えていたフレーズを言ってしまい、少し恥ずかしい思いをしました・・あと、教官によるのかもしれませんが、JALの訓練では、テストの際、英語のスペルも一字一句間違えるとバツになってしまうところが驚きました。
- 実際にフライトを初めて、具体的に違いを感じた点があれば教えてください。
- JALではデューティーのアサインが往路で変わることがほとんどだと思いますが、ANAは機材やコンフィギュチェンジがない限り、往復同じアサインです。そのため、出社時アロケーションチャートが発表されると一喜一憂します・・・。
でも、往復を通じてクルー間のコミュニケーション力が上がって仕事がしやすくなり、ミスを防げる、という利点もあると思います。 - JALでは行きがGLYだと帰りはCABINというように、チーフが配慮してアサインしてくださることが多いですね。またコンパートメント内のメンバーも入れ替わるので、正直、ホッとする時もあります・・。行きはよいよい、帰りは恐い・・・なんて時も(笑)
でも確かに同じアサインだと色々勝手がわかっていて、やりやすいかもしれませんね。 - コンパートメントでのくくりの違いもあります。
JALではMIDとAFTに分かれ、さらにインチャージ(SA)がそれぞれいますが、ANAではどんなに広くてもYクラスに一人PSがアサインされます。そのためPSの作業量は膨大です。
- MIDに比べAFTの方が乗客数が多いため、それだけでもインチャージ業務は大変だと思っていましたが、ANAではYクラス全体の責任者ということなのですね。想像しただけで、大変なことがわかります。必ずインチャージ間での情報共有は行いますが、MIDにいるとAFTの状況が、AFTにいるとMIDの状況が把握しづらいこともありますね。
- でもセールスのインベントリー(SCR)は、インチャージではなく、各クラスのCAが行い、SMASH(DASH)管理はセールス担当者が別にアサインされます。
- 作業面での違いなどはありましたか?
- ANAでは、小出しBOXがありません。これはとても便利だと思いました。
| 「小出しBOX」 | ・・・ | GLY内に必ずセットされる、小さな箱のこと。この中にインスタント用の一人用お茶パックやコーヒー、お砂糖・ミルクなどをセットしておいて個別のリクエストに迅速に対応できるようになっています。 |
- 保安業務での違いはあるのでしょうか?
- 到着後のドアモードの変更の仕方が違います。JALは、出発時と同様に、先任のPAでの指示により変更しますが、ANAではベルト着用サインの消灯を各CAが指差し確認し、ドアモード変更をします。
- この違いは要注意ですね。JALグループで先任のPAなしに各自がドアモードを変更してしまうと、問題になってしまいます。癖がついていると、少しドキドキしてしまいそうです!
- あとは機材の違いですが、ANAでは、全ての機材でLAVのSmoke Detectorが、JALのB767-300ER・B777のPower Indicator Lightタイプで、Operating Lightタイプがありません。そのためプリフライトチェックでDetectorのテストスイッチでHornを鳴らすという確認項目がありません。
- 同じ機材でも、会社によって付属されているものが違うのですね。
- 違いによる、何かおもしろいエピソードがあればぜひ教えてください!
- ANAでは1泊便にスーツケースを持っていく事は躊躇されるのですが、JALではそれが全くなく、それどころか巨大なスーツケースを持っていっても違和感がないことにとても驚きました!
- それはおもしろい違いですね。JALではどの路線でも、スーツケースありなしは個人の自由な気がします。私はコンパクトに荷物をまとめるタイプなので、ショートステイでもスーツケースを持って来る人が不思議で、何が入っているのか聞いてみると、化粧品など詰め替えるのが面倒くさくて、そのまま入れていたりするみたいです。