自分磨き

最近、私のまわりで、ステキな人がどんどん増えていて、興味深いのでどんなことが流行っているのか、彼女(彼)たちに聞いてみました。

20代後輩
Kさん
塩野七生著の本を片っぱしから読み、本好きで博学なSU(チーフパーサー)と盛り上がっていました。私のグループでは、読み終わった本をよく回し読みします。
Iさん
スキーの準指導員を目指し、フライト後のお休みはほとんど練習に当てています。
Yさん
ソムリエ受験のため、先輩からノートを借りて勉強。お酒のグラスにも詳しくなりました。

30代同期
Aさん
タイ料理を得意とし、人に教えてあげられるほどになりました。 
Rさん
ドイツ留学を考えて、叶ったらすぐに始められるように情報収集・日常会話以上の勉強を始めました。
Aさん
イタリア料理が好きで、パスタのゆで方から調理の仕方、地方料理にいたるまで、ほぼ完璧にイタリア語で覚えました。彼女とお食事にいくと本当に楽しいです。
Fさん
プロ並の写真の腕をお持ちで、福岡で個展を開きました。

40-50代先輩
Kさん
チーズプロフェッショナルを取得後、シニアソムリエを目指して勉強中。
Uさん
独学で中国語・韓国語をマスターし、いつもお客様を和ませてくださいますが、今度は日本語教師の資格を取得すべくがんばっていらっしゃいます。非常に知識が豊富で尊敬しています。
Sさん
毎年アカペラでコンサートを開きます。

余談「私」
@
エジプトに目覚め!? 長大歴史小説「ラムセス」5巻を読破。今真剣に、吉村先生の大学Extensionコースに通おうか計画中。
A
冬でも脚はきれいに!いつもペディキュアをしています。
B
ソムリエになりました。次はフレンチ料理を習う予定です。
C
いつか(お休みがとれたら)ジャズピアノを習います!

その時その時に、興味があることをやれるだけ出来たら、ほんとうに幸せですね。「目立つ人だけが個性的な人」ではなくて、本当の個性派は、趣味や、得た知識を心から楽しめる人だと思います。Flight Attendantは限られた時間のなかで、なんでも吸収しようというスポンジみたいな人が多いです。CAの職場は、望むなら望むだけ、自分磨きができる、刺激的な、素晴らしい環境だと思います。



どんなCAになりたいですか?

先日、フライトから帰ってくるときに、入社試験に向かう学生さんとすれ違いました。いつものクセでしょうか、私の目は、瞬時に、10人ほどの生徒さんの第一印象を把握していました。(機内ではご搭乗いただいてすぐに、風邪気味でいらっしゃるのか、発熱症状はおありか、お連れ様はいらっしゃるのかなど、CAは瞬時に把握し記憶することが求められます)

「接客業は第一印象が重要」といいますが、先輩からみて、「一緒に働きたいと思う」生徒さんと、「ああ学生気分と言われかねないな」と心配になる生徒さんがいて、何が違うのか、考えてみました。

やはり、接して3秒でわかるメーク・言葉使い・品行の第一印象、これが、みなさん就職情報誌やセミナーなどで大事と知りながらも、非常にウィークになっているようです。

例えば、メークが「JJ」や「CanCan」の雑誌から飛び出てきたようなものであったり、言葉使いが「おまえさ〜」だったり、足を組んでいたり、ひっかけヒールをはいていたりします。「私はそんなミスはしない」という方も、少し振り返ってみてください。面接の場だけでは付け焼刃です。例えば、電車の優先席付近では、携帯電話の電源は切ることになっていますが、メールに夢中になっていませんか。試験の帰り道に、「終わったぁ、マジで緊張して死ぬかと思った。記念受験だけど、えー、受かったらモチ入る!!」、これは、実際に、私が目にした受験生です。

共通していることは1つ。みなさん笑顔もかわいいし、きっと人と接客するのが好きだから、また優しいCAに憧れていらっしゃるから受験なさるのだな、と伝わってきます。でも、「もったいない!」と思いました。

「どんなCAになりたいか」 それも大事ですが、「どんなCAが求められているか」は、試験を受ける前に最大限研究すべきです。自分が好きなメークをして働くことは、会社が求めているCSにはつながりません。ボーイング747全540席のどの方向、どの角度からみても声をかけられやすい雰囲気と、誰からも安心できる笑顔を持つ人こそ、ステキなCA、求められるCAだと思います。

CS・・・Customer Satisfaction顧客満足



大殺界を生きる−こんな選択もありか

大殺界が2年以上続くのかと思うほど、28歳の頃は、ほんとうに毎日がしんどかった。神様も罪なことを!恋愛や仕事の失敗のたびに、苛酷な問題を、次々と目の前に突きつける神様に、最後のほうは、
 「またか!」
と妙にすんなりと受難を受け入れていたような気もする。

今考えれば、その時、辛いことも乗り越えるすべを知ったし、あれがダメならこれで行くと、多岐に渡る選択肢を持てるようになったと思う。不幸自慢をするわけではないが、どうやっても、にっちもさっちも、思うようにいかない辛い日々は、こんな感じだった。

29歳で、大恋愛の末に、結婚を誓っていた彼と別れた。どうしても、お互い譲れないものがあり、お互い納得して、別々の道を選んだ。そこまでは、自分でも納得していたつもりでいた。それでも、数ヵ月後、
 「今夏、結婚することにしました」
という彼からのメールを、留学先で受け取った私は、かなり凹んだ。彼の結婚については風の便りで知っていた。私と別れた5ヵ月後に、彼は、先輩の紹介で、お付き合いを始めた人と結ばれたようだ。

アメリカに留学していた彼が戻ると、同時に、私の留学が決まった。
 「君がどうしても留学するのなら、僕は待てないから・・・」
「待っていて」というのは、かなりの勇気がいることで、できなかった。将来、<どうしても譲れない>部分を、2人で妥協しあい、克服できるとも思えなかった。

異国を飛ぶことに慣れていた自分が、異国で、ここまで淋しい孤独感に襲われるとは思わなかった。だだっ広いステューディオスタイルの部屋で、明日の小テストのために、読まなければならないテキストをとりあえず広げた。だけど、頭に入らない。目の前が曇ってきた。テキストが濡れてしまうくらい泣いた。自分の空回りの人生を嘆いたし、人を幸せにする力もないのかと、無力の涙だった。

そんな状態でも、人生でこれほど勉強したことはない、と思えるくらい、3時間の睡眠で、必死に勉強した。よく倒れなかったと思う。昼休みも、パンをかじりながら予習に追われていたのは、失恋を忘れるには大変ありがたかった。次第に、クラスメートにも、英語で笑いを取るまでに、徐々に落ち込みは回復した。感傷に浸るための、ネガティブなボキャ(語句)を増やす余裕は正直なかった。日本にいたら、事態は違ってきたであろう。友人のなぐさめに、涙だって増したであろうし、写真なぞ、ぐさぐさと、私のこころを傷つけたと思う。立ち直りには、殺風景な部屋、異国の言葉、日本との遠い距離が、酷ではあるが一番効いた。

大殺界も、やっと幕をおろすのかと思いきや、まだまだ、どうにも解決しないことが続いた。英語のテストで、550点をとらないと、大学に申請すらできない。私は、543点を1回、549点を2回連続で取ってしまった。普段励ましてくれるキャサリン先生すら、”Gosh!”の一言で、教室を立ち去った。先生も悔しいのがわかり、それが余計につらかった。

一人、ダウンタウンのスターバックスに入り考えた。何かがおかしい。努力が足りないのか、勉強の仕方を間違えているのか、運が足りないのか、自分自身を変えないといけないのか。

ここで思った。
「待てよ・・・。もうこんなにがんばってきた。もっともっと自分を変えようというのは得策と言えるかしら?<違う!> がんばってきた自分のままでがんばることがきっと大切だわ!」

すべてを、今までと同じように行なった。テキストも、同じものを何度も繰り返した。違ったことといえば、酷な生活に少しでも潤いをと、一週間に一度、自分に花を買うことにした。

翌月、私は目標を上回る点を取ることができた。大学で、各国から来たクラスメートとディスカッションやプレゼンを行なえるようにまでになった。予想もしていなかったことだ。「日本人は働いてばかりで、人生どこが楽しいんだ。日本人はビジネスが下手なのさ。アメリカのマネばかりだろう」と、日本に来たこともなく、働いた経験もないフランス人のセドリックを、いかにギャフンと言わせるかが、セメスター最大の課題になっていた。( Thanks! TOYOTA. )

−Struggle− ほんとうに、私の2年間は、もがいて、もがいた。泣いて、立ち直ったら、またつまずいての繰り返しだった。けれど、無理にでも変化を求めて、自分を変えるよりも、曲がりなりにも、いままで歩いてきた自分を、少しでも褒めてあげようと思ったら、気が楽になった。自分でやってきた努力を容認でき、よくやった、と褒めてあげる。そこにまた、がんばりを奮い起こせる自分こそが、唯一自分の人生において頼れる存在だと思った。

「私ね、最近自分を褒めてあげることにしたのよ。こんなに大変な世の中で、がんばって生きてきた。会社だって休まないできた。こんな自分に、初めて興味がわいてきたのよ。これからどうなるか、どうするかって・・・。そうしたら、将来、着付けを習って、自分でお着物を着て、能を見に行くだとか、染物を学んで巾着をつくるとか、司法試験を受けてみようだとか、もうわくわくしてくるのよ!」

目を輝かせて、こう断言する先輩と同じ37歳になったとき、私は果たしてどんな生き方をしているのだろうか。楽しみだ.                           



僕のためにやってよね

長らく休暇をいただき、「青い空から」の寄稿をお休みしておりました。エッセーの更新がなかったのは、決して塾長がずぼらであったためではなく、厳格で男らしく、またとても部下思いの塾長の優しさとお人柄に、私がのほほんと甘えてしまったからです。また、社会復帰し、エッセーを寄稿するにあたり、これからも言いたい放題のご意見番風エッセーになることをお許し下さい。「シャバの空気はどうよ?」と同期に聞かれましたが、出足は追い風のごとく時間と仕事に追われ、またのんびり過ごしてきた浦島花子(うらしまはなこ)には風当たりの強いもので、それはそれは、復帰は大変でした。

さて、社会復帰第1日目は想像を絶する、精神的にショックの大きいフライトで幕を開けました。

機内には、いろいろなお客様が搭乗してきます。それは10年来の、痛いほどの経験と勘で分かってはいたのですが・・・。フライトは毎回が「ドラマ」です。何かが起こらないことの方がめずらしいといえます。誰かが倒れたり、お誕生日の方に、心ばかりのお祝いをして盛り上がったり、喧嘩するカップルの行方を見守ったり(気になったり?)・・・。

極めて、私の経験に基づいた個人的な考えになりますが、外国に住んでいたころ、「この国では、なんて女性も物怖じせずに、男性と対等に、発言も行動も行なうのだろう。また、男性は女性を尊重し、よく話も聞いてくれるし、家族を一番に考えているし、生活しやすいかもしれないな」と思っていました。一方で、日本の男性に不安を覚えていました。電車の中で笑みを浮かべながら、少年ジャンプをむさぼり読む会社員に、日本社会の暗雲を垣間見ていました。電車の席が空くと、奥さんより先に、スッと無言で席に座り、眠りにつく男性の多いこと、これらのことに、「あ〜、違うな」と思ったものです。そのような最中、私の復帰第一日は、「あ〜、やっぱりか」で始まったのです。

「ちょっと、スチュワーデスさん!外が見える一番いい席を頼んだのに、こんなに後方の最悪の席に僕を座らせるなんて、どういうことよ。今すぐに変えて」。45歳くらいの男性が、肩をいからせてはるか後方から、私の方に歩いてきました。座席番号は後方窓側で、隣には誰もいないし、ゆったりできる席でした。「外の景色はご覧いただけるかと思います。でも、今日は天気もよく富士山が左下にご覧いただけそうですので、お席を左側の窓側にお取替えいたしましょうか」と伺ってみました。すると、お客様の顔はニンマリ。「でもさ、反対に座ったって、後方にいるのだから、羽が見えるじゃない!僕はねえ、絶対に羽の見えない席、外が良く見える席で進行方向左側に座らないと、嫌なんだよ。2階はどうなの。は、はやく、急いでやってちょうだいよ」

私の当惑するようすが、相手に伝わってはいけないと思い、笑顔絶やさず、「はい、お席が空いているか確認いたしますので、お時間いただけないでしょうか」と伺うと、男性は、「嫌だね、早くやって。もう待てないんだから。ねえ、こんなのってひどすぎるよ」お客様は興奮して、地上職員の不手際への怒りが高揚し、私がその場でなんとかして解決しようとすることも、むしろ煩わしいようでした。

前日、TVドラマの再放送でやっていた「ずっとあなたが好きだった」のマリオさん(佐野四郎役)が頭に浮かびました。が、ここはお仕事。私の気転の利かせ方が問われるところです。何とかご要望にお答えしようと思い、インターフォンを使い連絡をとり、機内・ゲート係員・2階席を右往左往しました。

「この人の奥さんは大変だろう、いや、部下の方が大変に違いない、でもまあ会社で嫌なことがあったのかも」などと思っていました。

ようやく2階席にご案内することができました。私は、他にもしなければならないことがあり、その先のことは、そこの担当の別のスチュワーデスに頼みました。悲劇は、ここから始まりました。「あー、よかった。2階席は、景色はあまり見やすいとはいえないけれど、ご満足ならよかった」。 ほっと一息。その後、その男性は、再び現れ、複雑そうな顔で私に近づいてきました。「今日は富士山が小さく見えるじゃないか!」とかの無理を言うのかなあ・・・と思っていたところ、(注:顔の皮が引きつりながらも、笑顔な私)「あの、何かございましたか」「ねえ。あんなにいい席があったなんて。みんなで僕をだましていたんでしょう?みんな、さ〜、僕のためにやってよ。それと、コーヒーと新聞よろしくね。早く持ってきて」

あ、と思いました。窓側がいい、景色がいい、席がいい、やって欲しい。結局、お客様は、「あなたのために、私はさせていただきました」の態度の表れが欲しかったのです。できるだけのことはしましたが、その方のためだけに、エネルギーを割くわけにはいきません。他のお客様への配慮がおろそかにならないようするという思いがわき上がってきました。

「ではみんなでアテンドしましょう。キャビンを良く回って」。我ながら、まわりのスチュワーデスには大感謝です。彼女たちも機転を利かせ、彼をふわっと取り巻くかのように、そばを通るごとに、「おかわりはいかがでしょうか」「富士山はご覧いただけましたか」「東京は寒くて5度のようです」その結果、お客様は大満足で降りられました。

本当にいろんなお客様がいます。どのようなお客様にも、気持ちよく飛行機を降りていただけるようなサービスができて、顧客満足につながっていきます。今回のできごとは、しばらく飛んでいなかった私には、とても新鮮に思えたクルーコーディネーションの良いフライトでした。

「僕のためにやってよね」
フライト後も、頭に、この言葉がKey wordのように響き渡りました。「難しい人かもしれない、自分の旦那様でなくてよかった〜、私は、忍耐力はあっても、包容力はないよな。それにしても、今日のクルーは、話しをしていて面白い人ばかりだったからよかった。お客様も会話は楽しんでいらっしゃったことだろうな」と、いろいろなことを勝手に考えながら空港を後にしました。

一期一会のOne flight完結型の仕事ではありますが、こうして反省を踏まえ、今日の「ドラマ」を振り返るのもなかなか面白いものです。明日はどんなドラマが待っているのでしょう。



正しい苦情の言い方

先日授業で、「最近起こった頭にきたことと、そのときあなたはどうしたか」というテーマで話し合いをしました。お国柄や、人柄、性格がでるのであろう、と比較文化に興味のある私は、わくわくする気持ちでクラスメートの話を聞きました。

私は、「アパートの住人が夜中の3時にステレオをガンガンかけていて、うるさくて眠れなかったので、オフィスに電話して苦情を述べた」といいました。他のクラスメートは、「ルームメートがいつも私の買ってきたものを黙って食べるので、食べるなといったら、喧嘩になった」「寮の食事がいつも早くなくなってしまう。COOKがキッチンにいるため文句もいえないで困っている」「バスを30分も待ったので、運転手に文句をいったら、”俺は知らない”というので頭にきた」などでした。

先生が、「これらが全て解決できるとは思いませんが、いい方法があります。相手に上手に、しかも正確に伝える、いい方法があります」というので、みんな目が大きく開きました。

「だめだよ、だって、何度言っても聞かない人は聞かない」、誰もが心の中でそう思っていたはずです。私も、実際に騒音の苦情は3度目でしたし、聞かないひとは聞かないし、オフィスのスタッフもあまり頼りにはならない、と思っていたのです。クレームをあげるのは面倒臭いことです。

誰もが、おおおお!と感心した、「上手な問題解決の仕方」は DESC、下記の通りです。(DESC-acronym)

D-Describe the behavior or situation that you are unhappy with.
E-Express the feeling you are having. (sad? confused? angry?)
S-Specify you say or brainstorm a solution or specific behavior.
C-Stete the Consequence if behavior doesn't change.

解釈 D-あなたが不快に思う相手の行動や状況を説明する。
    E-あなた自身がそれをどう思っているのか、表現する。(悲しい?動揺?憤慨?)
    S-具体的な解決方法を伝える。
    C-もし、改善されなかったら、私はこうする(考える)と述べる。

これにそって、クラスメートの”ルームメートへの苦情”の解決を試みると、下記のようになります。”今日私が学校から戻ったときに、昨日買っておいたピザが無くなっていた。冷蔵庫にいれておいたんだけれど、知ってる?学校が始まって、なかなか買い物にいけないので昨日買っておいたものなの。私たちは同じルームメートで、生活も勉強も同じ部屋でするでしょう?自分のものが時々なくなってしまうのは、信用問題に関わってくるので、とても気分が悪い。もしよかったら、週末に一緒にスーパーに買出しに行くか、言ってくれれば私が代わりに買って来てあげてもいい。食堂でも食べ物は売っているでしょう。これは3度目だけれど、もし、また続くようであれば、私は困るのでアドバイザーに相談しようと思う。”

もちろん、タイミング、言い方、こちらの態度も大事です。相手の言い分も聞き、誤解があるかもしれないので極端な攻撃はしません。

極めて明確な方法だと思いました。生活に関わる、ごくごく些細なクレームでも、
     Introduction(導入)、 Body(メイン)、 Conclusion(結論)
論文のようですが、これがしっかりしていれば、相手に何が起こって、どう思って、どうしたいのでこれを言いたい、ということが確実に伝えられます。

「事実、私はいつも旦那に伝えるときに頭にDESCを考えます。だからでしょうか、結婚生活ももう24年続いています(笑)」

おおおお!みんなが再び声を挙げたのはいうまでもありません。       



異文化的付き合い方

大抵のことは、自分でなんとか解決しようと頑張る私ですが、今回はかなり落ち込みました。2人の外国人と、喧嘩とまでは行きませんが少し言い合ったのです。

曖昧が許されないアメリカで、「うん、多分土曜日はテニスにいけると思うよ。11時に、電話してみて」といったのですが、先方は「土曜日だな、OK.11時にテニスコートから電話すればいいのか」と思ったようです。もちろん、怒りの電話がかかってきました。
"You are liar! We had waited for you."

これにはショックでした。先方の怒りに加え、うそつきと言われたので、ショックが大きかったです。これで終わらせては苦い経験も無になるぞ、次回からは、迷ったら自分から電話する、確認する、約束事は相手に頼らない、そう思ったのです。それからは結構すんなり、今までどおりの仲良しの関係がつづいています。

文化の違い、というのをアメリカでも感じます。先方も日本人にはかなり戸惑うようです。郷に入りては郷に従え、ではありませんが、外国人がどう普段の自分達の動きを捉えているかを知ることは、反面教師ですが、新しい付き合い方を見つけるよい方法のようです。

こんなことがありました。
「今度の土曜日、ダンス(クラブ)に行くけれど一緒に行かない?」
「OK、じゃあ、7時に待ってるわね」

会場に行ってみたら、誘ってくれたのは私だけかと思いきや、先方の友人(もちろん全員ネイティブ)が大勢きていました。同じく誘われた日本人の友人は、
「今日は誰がくるか聞いておけばよかった」
と言っていました。私にはその気持ちは分かったのですが、ネイティブにいわせると、
「誰がくるかって?そんなの問題なの?君が行きたいかどうかが大事なんじゃない の?」

なるほど、と思いました。アメリカ人はフレンドリーだといわれていますが、自立心もかなり長けていることを知りました。「**チャンがいくなら私も行く」とは考えないようです。

こうやって、いろんな国の色んな人を理解することは、とても楽しいです。スチュワーデスの仕事の中にも、これらのことを、かなり学ぶチャンスがありますし、また、それを活かせる職業だと思います。自分を表現し相手を理解するように努力する。“文化の理解”というのは、自分の気持ちを相手に表現することから始まるのかもしれません。信頼関係を得るのは難しいことですが、自分を表現し、相手を知りたいという願いは、相手にも伝わる気がしました。

スチュワーデスの職場には、外国人クルーもいますし、もちろん、色々な国からのお客様もいらっしゃいます。自分で興味と好奇心、協調性と理解のこころを持てば、仕事を楽しくすることができる職場だと思います。                     アメリカ留学体験より



面接必勝法

質問コーナーには、「今日面接行ってきました」「みなさん頑張ってください」「洋服は・・・ですか?」という面接に関する質問やアドバイスが載っています。

私も○年まえ、この道を通りました。私の大学では、OGの会社名や名前すら非公開でしたので、みんな、それはそれは、苦労していました。インターネットも普及していなかったので図書館や友人を情報源として頼る以外なかったわけです。面接の本、というのも少なかった気がします。

「面接、どうしよう!」
3次試験は面接でしたので、「何を聞かれるかなあ」「こう聞かれたらどう言おうか」「何人でやるのか」「震えて答えられないかもしれない」「私の印象はいいかなあ」。そうこうしているうちに当日になりました。

人間土壇場になると隠れた力が出てくるもので、面接では、想像していたことは一つも聞かれず、また考えていたことは答えぬままに終わりました。

ただ、「これがよかったのかなあ」というものがあるとすれば、
『試験マニュアル(作戦?)を作り過ぎなかったこと』かも知れません。

私は普段から読書が好きでしたし、おしゃべりも、美術館に行くのも銀座をぶらつくのも昔から大好きです。こういう日常のなかで、何かがあるとすぐに考える癖があるのです。「私ならこう思う」「私が描いたら、こうは描かないだろう」「これを買うのとあれを買うのと、はたしてどっちが使い道があるだろうか」「今日のスカーフは、どっちが似合うか」「円高だと、自分にはどういう影響があるだろうか」

とりあえず、自分なりの感想を持ってみる。今思えば、これが、面接では自分を伝えられたことに、繋がったのではないかなと思っています。

マニュアルで固めていたら、自分も固まってしまっただろう、と思います。決まった答えからは、応用や発展がさほど望めないからです。普段から口には出さなくても、「私ならこう思う」を心の中においていれば、苦手な分野やよくわからない事に対しても「私はこう思います。私はこうしたいです」がすぐに出てくると思うのです。スッと自分を表現できます。

面接、「必勝法」を探すのも、本をみて参考にするのもいいと思いますが、面接官に自分のオリジナルなキャラクターを知って頂いたり、伝えることができるとよいですね。



『ミルク』のミスがもたらしたもの

先日、インストラクターとして、初々しい後輩達と鹿児島を飛んだときのことです。

「あの、これぇ」
赤ちゃんを抱いたお母さんが、ミルクの入った哺乳瓶を私に渡しました。受取るとなんとも冷え冷えの哺乳瓶でした。ミルク自体が真っ白でゆるいのです。誰かクルーが、ミルクと言われて、粉ミルクでなく、牛乳を入れて差し上げてしまっています。
「すぐに、新しいものをお作りしますね」
お母さんはホッとしたようでした。

知らないのは恐ろしい..。
赤ちゃんが冷えた牛乳を...??考えればすぐにわかります。きっとこのクルーも慌てていたのでしょう。でも、こと食べ物に関することは重要です。命にもかかわります。

こういうリクエストが機内ではよくあります。ナッツアレルギー、そばアレルギー、NO Beef、NO Egg、NO Pork(宗教上などの理由による)、赤ちゃん用のミルクに至っては『銘柄指定』もあります。

サービスにあたって・・・
 (1) 情報を自分の目でよく確かめる事
 (2) 搭載品は、搭載係員に確認すること
 (3) クルー同士がお互いに注意を促す事
 (4) お客さまにお出しするときに直接伺う事
 (5) 召し上がる様子をさり気なくみてみる
   (ミルクの温度がそのお子さんには丁度よかっただろうか...と思うでしょう)

これらの段階を踏んで、はじめてリクエストにお答えできたことになります。ミルク物語りですねぇ。ミルクは実に大事にあつかわれます。

結局、この冷たいミルクは、飛んでまだ数カ月の後輩がしたミスではありますが、この日の反省会は実に有意義であったと思います。

問題は『ミルク』の作り方、しかし、結局最後には、(1)〜(5)の流れを、全員が意識・再認識できたので、これで、この先のミスも防げますし、みんなで勉強できてよかったと思います。1人のミスから、みんながいろんな事を学べました。

反省会で「今日、わたしのしたミスですが・・・」と発表した後輩をみて、今日1日で、ぐう〜〜んと彼女が成長した気がしました。

自分も昔、なかなか忙しい先輩にむかって「教えてください」と聞きづらかったのをおぼえています。でも「盗めぬ技」や「知識」は素直に聞いたほうが、知識をどんどん身につけていけると思います。そして、知識は、現場で共有してこそ活かされます。




チップ考

先日、お客さまが、「外国にいくとチップに困るんだよね。いくらあげていいのかわからなくてさあ」と話していたので、ちょっと私の考えを書いてみました。

外国のメイドさんは、お客さんが心付けに置いていったチップが、彼女たちの収入に大きく影響するといいます。

 『サービスしてチップが多かったら嬉しかった。それを経験したから、自分がお客としてレスト
  ランに行くときには、チップは必ずある程度は置くよ。おいしくて良かったら、弾むしね!
  ウェイターやメイドさんは基本給が低いんだ』

アメリカ人の学生から、こう聞いたことがあります。経験した彼だからこそ、両者の気持ちが分かるのでしょう。

 「帰る日には、なにもベッドチップは置かなくていいんだって。自分のために掃除してもら
  うわけじゃないしね」
 「チップは10%だから$8.00か」

ホノルルのレストランで、こう話している人達がいたことを思い出しました。

外国で、気持ちよく自分をもてなしてくれたり、お部屋を作ってくれた人に、又、今日のおすすめ料理をいろいろと紹介してくれたウェイトレスさんに、「よかったよ、ありがとう」という気持ちを伝る手段、それがチップ。「チップは一律こうでいいか」は残念だなあと思いました。
経験上、チップのない日本だと感覚がわからないというのもわかりますが・・・。

私も、「これだと少なすぎかな。でも、なかなか食事は持ってきてくれなかったし、ワインは冷えてなかったし..」などと迷い、ちょっとケチ子になるときもあります。でもチップの額に迷ったら、こう考えるようにしています。

 「ありがとう、これで仕事後に珈琲でも飲んで、と言って渡せるなら、
  幾らくらいだろう?」   

ありがとう、その気持ちをわずかなお金に託す、これがチップだと思うのです。「う〜ん、サービスとてもよかったな。珈琲にケーキつけたらこのくらいかな」とか。ガイドブックの「チップは10〜15%置くこと」というのはあくまでも目安。心付けの金額は自分で決めるものだと思います。

とはいえもちろん、機内では、お客さまからチップは頂きません。「ありがとう」この一言が何よりも嬉しいですから。



ラーメン珍事件

日頃、
 「私が飛んで4,5年めのジュニアのころと違って(今でもミドルジュニアですが..)、今の後輩(グ
  ループでは5、6人です)は、大それたミスもせずに良く仕事ができるなあ」
と思っていました。

今でも振り返るとそら恐ろしくなるのですが・・・、ドライアイスを取り忘れてカチンカチンになったアイスクリームを、
 「どうしよう、チーフに怒られちゃう...」
と真っ青になりながら慌てて電気オーブンでチン! 用事を頼まれている間に、キッチンからブーンといちごの芳しい香りが。あっちゃー!!やってしまった!! オーブンの中は爆発して湯気を立てたいちごアイスが散乱。

 「ああああああああああーーーー!!○○さん何やってるの!」
 「おおおおおおおおお!!!!!」

余計叱られたことは言うまでもありません。

若い娘たちは、そんなミスもしないよなあ、と思っていたところ、後輩が可愛いミスをしてくれました。チーフは激怒を越し、('o')口ぽか〜んでしたが。

その後輩は、ファーストクラスでラーメンを頼まれたらしく、つゆを先に作ってしまったので、麺を湯通しするころにはつゆが冷めてしまった。そこで...思いきって、碗に麺とつゆを入れてチン!そこをチーフが通りかかり、

 「な、なにしてるのあなたあ〜!!!待ちなさい、オーブン止めて止めてぇ!!!あなた
  家でラーメンも作らないの?」

後々、作り直したときに

 「でも、○○さん、わたしラーメンなんて家で作らないですし、あ、ねぎ、ねぎはこのままで
  いいんですよね。」

彼女の作ったラーメンには乾燥ねぎの山でチャーシューが埋もれて見えませんでした。私が作り直したことはいうまでもありませんー。

後輩のミスをみて懐かしく、なぜかほっとする私でした。




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