サービス学講座

 

サービス理論

現代のサービス業

時代の発展とともに、サービス業も、飲食や宿泊を提供する業種に加え多種多様になりました。「物」を保管したり運んだりする倉庫業や運送業、情報を提供する新聞社やTV局、インターネットの会社、そして、お金を扱う銀行等々が現れました。その中核をなすのは、宿泊業や飲食業です。

同じ「運ぶ」でも、「人を運ぶ」のを交通といい、「物を運ぶ」は運送です。情報を運ぶのを通信と呼んでいます。いずれも、時間が重要となります。また、保管では、場所の提供によってビジネスが成り立っています。

 


 

サービス業の本質(サービス業と製造業の違い)

サービス業の本質を知るには、製造業と比較してみると判りやすいと思います。レストラン、放送局、航空会社を思い浮かべてください。サービス業と製造業の違いは、いわゆる、「財貨」を扱っているかどうかです。製造業は「財貨商品」を、サービス業は「無財貨商品」を、主に扱っています。

「財貨商品」 = 製造業

たとえば、A電器会社は10万円の冷蔵庫を生産し販売します。購買者は10万円を払い冷蔵庫=「財貨」を手に入れます。そして、購買者の手元には、冷蔵庫が「財貨」として残ります。

「無財貨商品」 = サービス業

サービス業では、購買者は「無財貨商品」、つまり、レストランで食事をしたり、ホテルに泊まったり、映画や音楽を聴いたりすることにお金を払います。

 


 

サービス業が売るもの

サービス業での購買者の手元には、お金を払った対価として、冷蔵庫のように何か物が残るでしょうか。普通は、どれほどお金を払っても、何も残りません。あるホテルに泊まったとします。宿泊者にとって、残るものはホテルに泊まったという事実であり、思い出だけです。私たち航空会社のお客様も同じです。

物が残らないのに、消費者がお金を払うのは、ホテルに泊まってよかった、飛行機に乗ってよかった、という思いがあるからです。そして、それをよい思い出(感動)にする手伝いするのが、サービス業に従事する人たちの使命です。

新聞社は、新聞紙を売っているのではありません。新聞紙に書いてある情報を売っています。やはり、物は残りません。放送局も同じです。番組を通して、視聴者に感動や喜びを与えています。芸能人もしかりです。

ストック(保管)が効かない
飛行機の座席は、売れなかったからといって、次の機会に売ればよい、というわけにいきません。
購買と消費が同時
サービスは、購買者が買ったと同時に消費されます。そのため、そのサービスが、よかったのか悪かったのかを確認するのが難しいと言えます。
転売できない
あのサービスがよかったからといって、他人に転売することはできません。
交換ができない
サービスが悪かった場合、苦情を出すことはできますが、受けたサービスを交換することはできません。
受けるまで分からない
期待したとおりのサービスを受けることができるかどうか、受けてみるまで分かりません。電器製品のように、購入する前にその製品の品質を確認することができません。

 


 

サービスの5大原則

安全性、快適性、便利性、清潔性、合理性を忘れては、よいサービスの提供はできません。

―安全性 (Safety)―
安全は、サービスの一要素です。お客様の生命だけでなく財産を守ることもサービスの大前提となります。お客様にケガさせたり、やけどさせたり、食中毒を起こしたりすることがないよう最大限注意を払います。忘れ物、落し物やお客さまの預かりものの取り扱いがきちんとしていないと、お客様の信頼を受けることができません。
―快適性 (Comfortableness)―
味がよいだけのレストランは、すでに過去のものになっています。味覚のみならず、触覚、視覚、嗅覚、聴覚を満足させるサービスが求められています。機内が寒く感じたりすれば、触覚面で、お客様は快適性を感じません。Cabin Crewの香水の匂いがきつければ、嗅覚面で、また、身だしなみがきちっとしていなければ、視覚面で、お客様は快適に感じません。
―便利性 (Convenience)―
お客様は、不便なところにあるレストランやホテルに行きたいとは思いません。航空会社を選ぶにも、発着時刻つまり利便性が、大きな理由となります。忙しい現代人は、便利さを望んでいます。「待たされる時間についても忘れてはならない要素です。必要以上に待たされることに対して、お客様は嫌悪を感じる時代になっています。
―清潔感 (Cleanliness)-
機内でも、レストランでも、大切な人命を預かり、たべものを提供しています。食品を扱うCabin Crewは、衛生観念がしっかりしていなければなりません。衛生観念の基本となるものは清潔感です。清潔感は自分の身だしなみから始まります。乱れた髪、汚れた手、だらしない服装は、清潔感の敵です。また、通路に落ちているゴミをみて、違和感を覚えない人も、サービス業には向いていません。
―合理性 (Reasonability)-
合理的なサービスとは、お客様が納得いくサービスのことを言います。ひとりよがりなものや自己中心的なものは、ただの作業であり、サービスとは呼べません。
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