キャビンアテンダント・フライトアテンダントのための
≪エチケット・マナー講座≫
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キャビンアテンダントのエチケット・マナー  ホテル編 

 
HotelとInn

大昔、人が旅に出る目的は、聖地への巡礼でした。その頃は、宿がない時代でしたので、旅人たちに、寝る場所と食べ物を提供したのは、修道院でした。そして、時代とともに旅人が増え、1400年頃になると、宿泊と簡単な食事を提供するInnができました。


1500年代後半、エリザベス一世の時、スペイン艦隊を破り、英国は世界に進出していきました。1600年代は、大英帝国の基礎を作った時代です。一方、1600年代後半のフランスは、ルイ14世の時代であり、豪華けんらんたるベルサイユ宮殿は、ヨーロッパの象徴でした。フランスの上流社会の高度に洗練された生活様式の中から、現在の高級ホテルのサービス形式と内容が生まれました。

そして、1700年代になり、英国では、産業が急速に近代化し、1700年代後半には、産業革命が起きました。各国の豪商たちは、新しい産業を見るために、英国に渡りました。多くのヨーロッパ大陸の貴族たちは、英国貴族と親戚関係にあったため、英国貴族の館に宿泊しました。ところが、豪商たちが泊まる適当な宿泊施設がありません。そこで、豪商たちも、貴族の気分を味わえるように、貴族の館に似た宿泊施設ができました。これがホテル時代の始まりです。ホテル学では、この時代を、「グランドホテル時代」と呼んでいます。

セザール・リッツが、ロンドンに「サボイホテル(Savoy Hotel)」を開業したのが、1889年です。1897年には、パリに「リッツホテル(Hotel Ritz)」を開業し成功を収めました。さらに、1899年に、ロンドンに「ザ・カールトン(The Carlton)」を開きました。このとき、リッツと一緒に仕事をしたのが、歴史的に有名で、「料理の鉄人」と呼ばれたオーギュスト・エスコフィェです。


 
Lobbyはホテルの顔

一流のホテルになればなるほど、ロビーは静かで、くつろげる空間になっています。宿泊客と訪問客が、ゆったりとした雰囲気で、話ができるようにしています。また、ホテルで催される夜の会合やパーティーの待合せの場所にもなっています。 そのために、一流のホテルは、ロビーの設計に細心の注意を払っています。

昔、ホテル・オークラが一流のホテルであると言われた所以も、ひとつには、ロビーの良さでした。ホテル・オークラのロビーはざわざわしていません。今度、訪れることがあったら、じっくり観察してみてください。このホテルのロビーが静かな理由は、チェックインカウンターの位置にあります。ロビーがざわざわするのは、チェックイン客がいるときです。多くのホテルでは、チェックインカウンターが、ロビーに面しています。ところが、ホテル・オークラの場合、チェックインカウンターは、ロビーからは見えないところに設置してあります。


 
ホテルは日常生活空間

乗務員にとって、指定ホテルに泊まることは、日常生活の一部となっています。したがって、日本にいる時と変わらない行動をとる傾向にあります。

ところが、一般客にとってホテルは、非日常性の空間です。ホテル側も、非日常性を売り物にしています。家庭では味わえないもの、たとえば、豪華さや高級感です。もとはと言えば、豪商たちが貴族の雰囲気を味わうことができるようにしたのが、ホテルの始まりです。一流ホテルには、その名残があります。


 
Lobbyにて

乗務が終わって、ホテルに到着したCrewは、仕事の余韻がまだ残っており、少しハイな状態にあります。いきおい、チェックインを待っている間、ロビーの真中で、大きな声で話す傾向にあるので、注意が必要です。

また、夜のロビーは社交の場となります。そのようなところへ、ジーンズやTシャツのようなカジュアルすぎる服装でいるのは、やはり、まわりの雰囲気を壊します。昼間、ショッピングに出かけ、カジュアルな服装で、夕方帰ってきたなら、目立たないようにロビーを抜け、エレベーターに乗る。そのような姿で、夕方ロビーにたむろするのは避けるのが、お客側のホテルに対するマナーです。


 
Lobbyを走るな
日本人は、よく走ります。欧米社会では、運動以外で走るのは、何か緊急なことが起きたときだけです。ホテルのロビーを走るのも日本人だけです。ちょっと部屋に忘れ物をしてきた、と言っては走ります。欧米人は、火事か、とビックリしますので、決して走らないでください。

 
TipはInsurance

日本の旅館と違って、ホテルのロビーは、パブリックスペースとなっています。したがって、誰でもが入ってきます。 日本人は、ロビーで、手荷物などの盗難によく遭います。盗難に遭って、ホテル側に文句を言っている人を見かけます。乗務員でも、ロビーに手荷物を置いたまま、食料を買いに行ったり、コーヒーショップで食事をしたりしている間に、盗難に遭っています。

ホテル側に文句を言っても、ホテル側は取り合ってくれません。自分の手荷物は自分で管理する、という考えに基づいています。安全を確保するには、お金がかかるのが欧米社会です。ベルボーイにチップを渡し、荷物を見ていてもらいます。この時、盗難に遭っても、チップを受け取った以上、管理の責任は、ベルボーイ(ホテル側)にありますので、客は、賠償を請求することができます。これが、チップの「Insuranceの効用」です。


参考文献        
「エチケットの文化史」 春山行雄著 平凡社
「国際儀礼とエチケット」   友田二郎著 学生社
「ヨーロッパ社会と国際マナー」   南村隆夫著 勁草書房 
「Emily Post's ETIQUETTE」   Elizabeth L. Post著 Harper Collins社
「喜ばれるもてなしの秘訣」   塩月弥栄子・橋本保雄著 大和出版
「背広とチョンマゲ」   加藤英明 A・ホルバート共著 徳間書店
「ホテル産業界」   原勉・岡本伸之・稲垣勉共著 教育者新書

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